遺伝子オン オフ ゼンペン 総論
第1章 遺伝子が目覚めるとき 生命科学は目覚しく進歩しています。 2010年ごろまでには、ヒトの全遺伝子暗号の解読が完了します。 人間は自分の体の設計図を解読する技術を手にしたのです。
この遺伝子の解読で生命の謎が解けると期待されたのですが、その解読が進むにつれ、 話はそう簡単ではないことも分かりつつあります。 生命の仕組みは、まったく驚くほど不思議なことばかりです。
それぞれの遺伝子は、見事な調和の元で働いています。ある遺伝子が働き出すと、 他の遺伝子はそれを知って手を休めたり、いっそう作業のピッチを上げたりすることで、実にうまく全体の働きを調整しています。このような見事な調整が、たまたま偶然に出来たとはとても思えません。この見事な調整を可能にしているものの存在を、私は10年ほど前から「サムシング・グレート(偉大なる何者か)」と呼んでいます。
● 遺伝子の働きは環境や刺激で変化する 最近の遺伝子の研究から、凄い事が一つ分かってきました。「遺伝子の働きは、それを取り巻く環境や外からの刺激によっても変わってくる」ということです。正確に言えば、それまで眠っていた遺伝子が眼を覚ますことでもあるのです。環境や外からの刺激といえば、一般には物質レベルだけを考えがちですが、私は精神レベルでも考えています。
精神的な刺激やショックが遺伝子に及ぼす影響、つまり遺伝子と心の関係がこれから注目されるようになると思っているのです。
● 生まれたばかりの赤ちゃんでも細胞三兆個 細胞の数は体重60キロの人で60兆個もあります。キロ当たり約1兆個の計算で、生まれたばかりの赤ちゃんでも3兆個の細胞を持っています。
もっと凄いことは、この細胞一個一個に、例外を除いてすべて同じ遺伝子が組み込まれていることです。細胞の仕組みは、一つの細胞の中心には核があって核膜で覆われており、その核の中に遺伝子があります。元を正せばこのたった一個の細胞(受精卵)からスタートして、今のあなたがあるのです。
一個の受精卵は一つの細胞ですから  細胞が次々と分裂を繰り返し、途中からは、「おまえは手になれ」「おまえは足になれ」「俺は脳に行く」「俺は肝臓になる」と、それぞれ手分けして母親の体内でどんどん分裂を続けて、十月十日で出産、細胞数約3兆個の赤ちゃんの姿になってこの世に誕生する、というわけです。
人の細胞一個の核に含まれている遺伝子の基本情報量は30億の化学の文字で書かれており
。そして私たちはこのDNAに書き込まれた膨大な情報によって生きているのです。これだけの膨大な情報を持った遺伝子が、60兆個の細胞一つ一つにまったく同じ情報として組み込まれているということは、体のどこの細胞の一片を取ってきても、そこから人間一人を立派に誕生させる事が出来る可能性を持っているということです。
しかし、ここで一つの大きな疑問が生じてきます。どの細胞も人間一人の生命活動に必要な全情報をもっているとしたら、爪の細胞は爪しかならず、髪の毛の細胞は髪の毛の役割しか果たしていないのはどうしてなのか?ということです。髪の毛の細胞が急に「心臓の仕事がしたい」、心臓の細胞が「俺は今日から爪の仕事をする」などと言い出すことはないのか。各細胞が持つ情報は全て同じなのですから、それは潜在能力的には可能なことなのです。しかし現実にはそういうことは起きていません。それは爪の細胞の遺伝子は爪になることはOK、つまり遺伝子をオン(ON)にしているが、それ以外は一切ダメ、つまりオフ(OFF)にしていると考えられるからです。受精卵から分裂して体を作っていく過程で、細胞間で何らかのそういった取り決め、役割分担みたいなものが行われ、以後は各細胞がそれをきちんと守っていると考えられます。
● 人間の体の仕組みには不思議が一杯ある 人間はしゃべる時にも遺伝子が働かないとしゃべれない。言語情報を脳から取り出すときには遺伝子の働きがいるのです。 さらに驚異的なのは、これらの遺伝子の構造と原理は、全ての生物に共通していることです。現在地球上には2百万種以上の生物がいるといわれているといわれますが、カビも大腸菌も植物も動物も人間も全て同じ原理。という事は、あらゆる生物が同じ起源を持つことを示しているように思われます。
もう一つ遺伝子で興味深いことは、原理は同じなのに、その組み合わせによって、二つと同じものがないことです。秀才と美人が結婚しても「美男の秀才」が生まれるとは限らない。また別な見方をすれば、あなたがこの世に生まれてきたということは、70兆という膨大な数の可能性の中からたまたま選ばれて、この世に存在しているわけで、それだけでも貴重だということが出来るのです。
いったい誰がこんな凄い遺伝子の暗号を書いたのか?遺伝子の暗号は、人間自身に書けるはずがないのは初めから分かっています。では自然に出来上がったのでしょうか?生命の元になる素材は自然界にいくらでも存在しています。しかし材料がいくらあっても自然に生命が出来たとはとても思えません。
。ここはどうしても、人間を越えた何か大きな存在を意識せざるを得なくなってきます。私自身は人間を越えた何か大きな存在のことを、ここ十数年来「サムシング・グレート(偉大なる何者か)」と呼んでいます。そういう存在や働きを想定しないと、小さな細胞の中に膨大な生命の設計図を持ち、これだけ精妙な働きをする生命の世界を当然のこととして受け入れにくいのです。
近年、生命科学が長足の進歩を遂げ、生命の謎が少しずつ解き明かされるところまで気いるのは事実です。しかし、ノーベル賞学者が束になってかかっても大腸菌一つ作れない。これから先も、生命そのものをゼロから作ることはきわめて難しいと思われます。
● 遺伝子をONに出来る人、できない人 昔から「病は気から」という言い方があります。心の持ち方一つで、人間は健康を損ねたり、また病気に打ち勝ったりするという意味ですが、私の考えではそれこそ遺伝子が関係しているということなのです。つまり、心で何をどう考えているかが遺伝子の働きに影響を与え、病気になったり健康になったりする。それだけではなく、幸せをつかむ生き方ができるかどうかも、遺伝子の働きによると考える学者もいます。幸せに関係すると考えられる遺伝子は、誰の遺伝子にも存在しているはずです。その遺伝子をONにすればよいのです。今まで眠っていてOFFになっていた遺伝子を起こし働かせる、ということです。
人間の遺伝子のうち解明された遺伝子はまだわずかです。これら遺伝子が、A、T、C、Gの四つの化学の文字で表される30億の情報を元に細胞を働かせるのですが、実際に働いているのはわずか5%とみられ、その他の部分がどうなっているのか良く分かっていません。
つまり、まだOFFになっている遺伝子が多いのです。心のあり方で遺伝子の働き方が違ってくるのは、人間の遺伝子のほとんどがOFFになっていることと関係があるのかもしれません。
私はこのわかっていない遺伝子の中にも、心と強く反応する遺伝子があるのではないか?と思っているのです。心が体に命じて何かを実行するためには、遺伝子の働きが必要なのです。では幸せをつかむために、私たちは遺伝子をどう働かせればよいのでしょうか?
それは日常生活をはつらつと前向きに生きることだと考えています。「イキイキ、ワクワク」する生き方こそが、人生を成功に導いたり、幸せを感じるのに必要な遺伝子をONにしてくれる、というのが私の仮説なのです。人間はいつも前向きで元気ハツラツしていると、全てが順調にいくようになります。そういうときの心の状態は、良い遺伝子をONにして、悪い遺伝子をOFFにする働きがあるのです。最近よく言われるプラス発想の意味も、この辺にあるといっても良いでしょう。最近は、「ダメ」を前提に考えて生きている人が多いように思います。これは遺伝子から見ると決して良い生き方とはいえません。不必要な遺伝子はできるだけOFFにして眠っていてもらい、いい遺伝子をONにしてたくさん働いてもらうこと。その生き方の鍵を握っているのが「ものの考え方」だということです。このような考え方を、私は「遺伝子発想」と呼びたいと思います。遺伝子を上手にコントロールして生きて欲しいのです。
● 遺伝子のON/OFFとはどんなことか? 「こういうときにはこう働け、こういうときは、眠っていろ」という指令情報があります。これを私たちは遺伝子のON/OFFという言葉で表現しています。例えば、人間は思春期になると性ホルモンが分泌されるようになります。男は男らしく、女は女らしくなってきます。これはそれまでOFF状態だった性ホルモンの遺伝子が、いっせいにONになって働き出すからです。体の中には、ある一定の時期がたつと働き出す遺伝子がある。これは心とはほとんど関係なく働き始めます。おっぱいが膨らんできたり、ひげが生えてきたりするのがこれです。これは心の影響をまったく受けていないわけでもありません。周囲の環境がそれを早めたり遅くしたりします。また、心の持ち方も影響を与えていると考えられます。
● 遺伝子に書かれている暗号とは何なのか? 今から40年ほど前に科学上の凄い発見がありました。「生きとして生けるものは、まったく同じ遺伝子暗号を使って生きている」という発見です。カビも大腸菌も植物も動物も人間も、みな等しく同じ原理を使って生きている事が分かったのです。生物の基本単位は細胞ですが、細胞の働きは遺伝子によって決定され、遺伝子は同じ一つの原理で働いている。基本原理が同じということは、生物は間違いなく一つの細胞から始まったと思われます。私たちが草木を見て安らぎ、犬猫に出会って親し身を感じるのは、あらゆる生物が期限を一つにする親戚兄弟だからかもしれません。
では遺伝子には何の暗号が書かれているのでしょうか?結論を言えばタンパク質を作る暗号なのです。タンパク質というのは私たちの体の中で、水と供に最も大切なものです。それは体の構成要素であると同時に、体の中で起きる様々な化学反応に必要な控訴やホルモンなどの材料でもある。いわば生命の現象の元になる物質です。タンパク質は20種類のアミノ酸からできています。
● プラス発想すれば遺伝子が目覚める! 遺伝子にはONにした方がいい遺伝子と、OFFにした方がいい遺伝子があるわけです。理想は悪い遺伝子をOFFにして、いい遺伝子をONにすることです。その秘訣は何かというと、物事を良い方へ考える、つまりプラス発想という事が非常に大切になっています。プラス発想で注意しなければならないのは、困難や窮地の時です。物事が順調に運んでいる時は誰でもプラス発想ができます。しかし、つらい局面に立たされた時、その状況でどれだけプラス発想ができるかです。自分の身に起きることは「全てプラス」というとらえ方をすることです。人間の中では、心が非常に大きな力を持っています。病気だって落第だって失職だってありがたいわけです。それによって人生が深まることもあるし、人の痛みが分かることもある。そればかりか、まったく新しい輝かしい未来へのスタートになるかもしれない。
元気の出る遺伝子をONにするには「感動」することです。とても「感動」できる状態ではなかったら、以前に経験した感動を心の中に呼び戻してみるだけでもいいのです。感動とは大いなる喜びと心地よい興奮が一緒になったものです。
● 遺伝子に書かれてある以外のことは出来ない 人間の能力、可能性は決して無限ではありません。遺伝子に書かれている以外のことは出来ないのです。ただ、人間の遺伝子で現在働いているといわれるのは5%から、せいぜい10%で、後はまったく眠ったままの状態に置かれています。つまり細胞の中の遺伝子は、A、T、C、Gからなる30億の膨大な遺伝子情報を持ちながら、そのほとんどはOFFの状態にあるということです。したがってまずどのようなことでも可能性はある。無限と思ってもなんの差し支えもありません。人間の可能性が無限であるという考え方は、私たちの脳が「可能と思ったこと」は可能だということです。世の中では奇跡が時々起きます。奇跡とは大半の人が「不可能」と思う事が「可能」になることです。しかし遺伝子的には奇跡もプログラムのうち。私たちは皆「奇跡の人」の可能性を持って生まれてきているのです。 遺伝子オンオフ前編 終わり。

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