急げば まわれ!ひなチャンとりえチャンの若葉ドライブの巻き。

18歳のひなとりえは、免許とりたてです。
今日はひなの 母の伯父のお葬式に 母が山向こうの お在所に出かけているので  ひなも行かなければならない。友達のりえもさそって ドライブがてらです。
ひなちゃん 鷲沢村って キャンプ場があるところよね。あそこ 夏 家族で行ったことあるわ。
そうよ お母さんの お母さんのお在所なの。だからわたしのおばあちゃんの産まれた 家なの。 お母さんは小さい時 両親を亡くしたので そこで子供の頃伯父さんに育てられたのよ。 私も家族で何度か キャンプに行って その家にもなんどかいったわよ。
ひなちゃん このバイパスで行くのでしょうね?
ううん ここ通行料高いからいつも父さんが行く所を走るわ。 あの山を登って下るのよ。近道だからとても早くつくわよ。お母さんは近道は女の子では危ないって言ってるけど 平気よ。
あら、ひなちゃん なかなかきつい坂ね。道路もそんなに広くないし 大丈夫。 ひなちゃんの 軽自動車じゃたいへんよ。ねえ 今の標識見た。凍結注意って書いてあったわ。
大丈夫よ りえちゃん なんども通っているもの。私は始めてだけどね。あら 山の高いところに来たら 道路の隅に雪見たいのがあるわね。まだ 街は 秋なのにね。 でも 此処が一番高いところよ。 ここから 景色ががらっと変わるわよ。
ひなちゃん なんだか道路が白くなってきたわね。それに 森が迫っているからまだ 夕方なのにもう暗いわよ。なんだか怖いわ。ひなちゃん 雪道用のなにか装備してきたの。
ううん なんにも だって いつも 夏に来るものだから。それに私まだ 車買ったばかりよ。オーディオコンポは奮発したけど タイヤのことなんか 知らないわ。
ひなちゃん ライトつけないと よく見えないわよ。 ねえ 大丈夫。それに さっきからほかの車と一代もすれ違わないわね。なんだか心細いわ。
ほんとね りえちゃん。私 若葉マークの初心者だけど なんだかハンドルがふらつく ブレーキかけても止まらないわ。これ 滑っているのかしら。
ひなちゃん なにのんびりした事言ってるのよ。道路が凍っているのよ。どこでもいいから ちょっと止めようよ。
そうね で でもブレーキがきかないわ。やだ 坂が急になってきたわ。ああー、 とまらないわ。どうしよう。
ひなちゃん あそこ あそこに 車止めの砂山があるわ 白いけど あれ きっと そうよ。あれに 乗り上げればいいわよ。
きゃー。こわい。でも なんとか止まったわ。ああ、 もう 近道なんか絶対しないわ。これからずっと。死んだってしないわ。 でも りえちゃん どうしよう。あら、携帯が圏外よ。 外さむそうだし。私達ブーツは履いているけどミニスカ 生足じゃぁ 遠くまで歩けないわ。熊でも出そうだわ。こんなところじゃ家もみつからないし、どうしよう。
ねえ、ひなちゃん 見て あそこに 家があるわ。あかりもついているわ。煙突から煙も出てるわ。あそこなら歩いていけそうよ。行って見ようよ。電話があるかもしれないわ。
ねえ、この家 農家なのかしら。山小屋みたいね。ねえ、牛小屋に牛がいるわ。こっちみてるわ。
お嬢さんたち いらっしゃい。寒いから 早く家に入って お茶でも 飲んでいきなさいよ。
きゃあ びっくりした。この家の人ですか。
そうだよ。話は後でいいから まず おはいりなさい。 靴はそのままで ここに お座りなさい。今おいしいお茶を持ってくるからね。
ねえ、 りえちゃん あのひとなんなの 腰紐に 山刀みたいのをぶら下げてるし、昔の綿入れみたいな 山男みたいな恰好ね。髭ぼうぼうだから 若いか古いか わからないわ。まるで 時代劇の山賊みたいね。 なんだか 気持悪いわね。ねえ 早く逃げましょうよ。なんか されそうで怖いわ。
そうねひなちゃん 私も怖いわ。もうぜったいに近道なんかしたくないわ。死んでも いやよ。さぁ 逃げようよ。
お嬢さんたちお待ちどうさま。さあ お茶の一杯も飲んで落ち着きなさいよ。
あの すみません。あの どうぞ お構いなく。あの ありましたら 電話を貸してください。すみません。
電話をですか どうするのですか 私がいるじゃあ ないですか。お嬢さんの車は私が 動かして差し上げますよ。
あら どうしてわかったのですか。車の事?
いや そうじゃぁないかと思ってね。 じゃぁ 早速行きましょうか。おーい、ごんべい!車を引っ張りに行くぞ。 ロープを忘れずにな。
あら だれか他に いらっしゃるのですか。
いやいや あの わしの 相棒の 黒牛の ごんべいじゃ。 さぁ 毒は入っていないからお茶でも飲んで 飲んで いくぜ。
早く りえちゃん 早く車に乗って、いそいで ロックしてよ。 もう絶対に開けちゃだめよ。 あら、車が後ろに下がるわ。あの黒牛が ロープを引っ張って あの 人が くるまを 押してるわ。すごい力ね。 あら 道路に出たわ。あぁ エンジンかかったわ。でも このままじゃ 又すべっちゃうわ。
ねえ ひなちゃん みて あのひと、タイヤにロープを巻いてるわ。あれで チェーンの代わりになるのね。あら、なにかいってるわ。
さぁ お嬢さんたち これでいけるよ。気をつけていくんだよ。標識に凍結注意って書いてあったろう。お母さんがいつも言ってたろう。近道するな 急げばまわれって 怪我をしてからではおそいよ。これからも気をつけていくんだよ。
ひなちゃんドアあけちゃだめよ。なんかされちゃうわよ。 さあ 逃げようよ。
うん。 でも あの人 なんだか そんなにわるそうじゃないわ。御礼をちゃんと 言いたいわね。怖がっていたからわからなかったけど 随分 親切にされたわ。 落ち着いたら なんだか とてもなつかしい人みたく思えてきたわ。ちょっと 止まるわね。あら、だれもいないわ。大きい黒牛もいないわ。へんね。
ほんとだ!もう家の方に走って行ったのかしら。でも ひなちゃん 早く行こうよ。 スリップ気をつけてね。
ひな この 仏壇へも線香あげて ご先祖さまにごあいさつしなさい。
はい お母さん。 りえちゃんも付き合ってよね。
あら ひなちゃん。田舎の 仏壇って大きいわね。ねえ、この人 見たことアル  人みたいね。
この人 お母さんのおじいちゃんで 私の ひい じいちゃんよ。 私は見たことないけどね。このおじいちゃんに お母さんは 両親を亡くしてから  ずっと とっても可愛がられていたって言ってたわ。ほんとにどこかで会った  人みたいね。おじいちゃんの写真 笑ってるわよ。なかなか いい男ね。優しそうだし。会ってみたかったわ。
今日はとっても いい天気ね。りえちゃん 私の親戚のお葬式なんかに 付き合ってくれて ありがとね。 夕べ眠れたの。私は良く眠ったけど 夢で あの仏壇のじいちゃんが出てきたわ。
あら ひなちゃん 昨日の山道 道路が何にも凍っていないみたいね。あんなに  こわい目にあったのに、うそみたいね。 そう言えば あの 変な人に 昨日 巻いてもらった あのロープのチェーンどうしたの。
うん それがね いつの間にかなくなっていたわ。昨日 あれから お母さんにあのこと 言ったらひどく叱られたわ。それも お礼もちゃんと言わなかったのでね。 あら、前のお母さん達の車が止まって なにか言ってるわよ。 どうしたの お母さん。ここで 昨日 スリップしたのよ。そして あそこの  もりあがった 所に 車を乗り上げてやっと 止まったのよ。 そして あそこの  家の人に助けてもらったのよ。 あら、家が無いわ。りえちゃん ここよね。
そうよ、ここよ。あそこよ。でも 家がないわね。
あなたたち 何言ってるの。あそこは あの 仏壇にあった、写真のおじいちゃんの  仕事場だったところよ。 ほら あそこに 朽ちているけど 家の跡があるでしょう。いつも 大きい黒牛の ごんべいと 仕事に来ていたわ。私もよく おじいちゃんの 牛ぐるまに 乗って来ては あの岩の上に乗って おじいちゃんの仕事を見ていたわ。なつかしいわね。
ひなちゃん。
りえちゃん。
じゃぁ あの人が、、、。おじいちゃんなの。
ジ エンド。

コミックの部屋へ もどる
トップへ もどる

Ads by TOK2