カントリーボーイ 竜彦。   戦後22年生まれの私、そしてど田舎育ち。 子供のころ、我が家から、夢の大東京で一旗「ひとはた」上げた、親戚が、二軒 在りまして、東京から夏休みに従兄弟の子供だけで良く長く、泊まりに来ていました。年も 近かったので、毎日一所に遊んでいました。
私の子供のころは、近所に同じくらいの 子供が一杯いましたから、それは賑やかでした。   東京から来ていた親戚の子供達は、自由活発なのは良いが、知らないのか、 珍しいのか、平気で よその田畑に入るは、作物を取るは で、東京の子供達は それを許されていました。
  当時は田舎の子供と、都会の子供とでは着ている洋服から、言葉使いが大きく 違っていて、カルチャーまでまるで違っていました。   果物も 木から取って直ぐ食べず、洗ったり、川を剥いたり、手を洗ったり、 歯を磨いたり、「今じゃ あたりまえ! ポリポリ」 当時の田舎の子供とは、大違いでした。
  そして東京の子供達が帰った後も、しばらくは、田舎の女の子達が東京言葉を しゃべっていました。   そんなころの 物語です。
  村は今日も 長閑です。 一面田圃と畑です。垣根と果樹がこんもりとした中に、農家が点在しています。 遠くに一段と高い山、村人達が毎日見上げ、頂上には 社「やしろ」を戴いた、  天白山が在る。
  中に、農家とは違って、白いトタン一枚に「都田組」と看板の出た、建設会社が あった。広い敷地の中に、コールタールで塗られた、物置倉庫が点在し、泥に汚れた 、重機と トラックが何台か止まっている。
  そこに田舎風の家とは違った、しゃれた本宅が在り、その庭では都田組の親方の 一人息子の、竜彦が、新車のダットサンを鳥のはたきでほこりを払っていた。   この田舎から大学に通う子供はめったにいない。   そんなころ 竜彦は親の金の力で、東京の三流大学の建設学部にはいった。
 そして一年ほど大手の建設会社に入ったが、最近東京から花嫁を連れて    帰ってきた。
  竜彦が愛車を磨きながら顔を上げると、畑の間を一台のオートバイとその後ろを 三台の自転車が走って来て、竜彦の庭に入ってきた。
  皆幼馴染だ。正志と鉄夫は町の工場に勤め、奈津子と菊子は地元の農協に勤めて いた。
「ねえ、 たっちゃんが帰ってきたから又、一所に遊べるよな。たっちゃんは良いなぁ、 もうダットサン買って貰って、俺なんか、このポンポンやっと、月賦で 買えたんだぜ。」 「あら、 そうよ 私だってこのサイクリング自転車、月賦で買ったのよ」。と奈津子。 そして 菊子が 「たっちゃんこのダットサン高かったらねぇまだ 誰も自動車買った 人ないよ。」 「おいおい、お前らなんにも知らないが、東京じゃぁこんな車一杯だぞ。道路は車が ずっと続いて、渋滞しているぞ。人も歩道が埋まるほど、祭りじゃぁ無くても、毎日 人だかりで凄いぜ。夜だってネオンや街灯で、一晩中明るいんだぜ。俺も、父さんが 帰ってこいと 言わなきゃぁ ずっと東京に居たかったがなぁ。」
  鉄夫が胸ポケットからこれも月賦で買った、トランジスターラジオのスイッチを 入れた。ちょうどデビューしたばかりの、フランク永井の 歌が流れ出した。 「 あぁ、ねぇ てっちゃん もっとラジオの声大きくしてよ。「」  駄目だよ 電池が 無くなるし、壊れちゃうから。」
「  けちねぇ、てっちゃん。」   その時 真理子が二階から姿を出して、月下美人 の植木鉢に水をやっているのが見えた。
「あら、二階の物干しに たっちゃんの お嫁さんの 真理子さんが いるわ。」 「ほんと可愛いわ、都会の雰囲気があって、とても かっこいいわ。ねぇたっちゃん  紹介してよ。東京の事 おしゃれの事、色々教えて欲しいから。」
「  おい、なっちゃん あれは 物干しじゃぁなくて、ベランダって言うんだぜ。 そうさ そりゃぁ真理子は東京育ちだから、きっこや、なっちゃんのように、田舎 臭くないからな。俺だって東京に行ったばかりは、方言で皆に笑われたぜ。 真理子はお料理が上手くて、ハンバーグやシチューがばかうまいぜ。 」
「  フーン そのハンバーグとかシチューってなんなの。見た事無いよ。  でもふんとに真理子さんの洋服、この辺では見た事無いね。かっこいいね、 靴や 帽子や 洋服や色々見たいなぁ。」
 正志がそこで。「真理子さんは ばかいい匂いがするぜ。。なっちゃんも 石鹸の匂いがするけどね。」 「  おいおい。正志 お前なっちゃんが好きなのかよ、田舎臭くても好きなら、 いい匂いに感じるんだよ。」
「ねえ、  変なこと言わないでよたっちゃん。私だってデパートでオーディコロン 買ってきて着けてるわよ。」
「  へえぇ。なっちゃん オーディコロン買ったのか あれはおでこにだけ 付けるのだぜ。   それに真理子の着ているのは 柔らかくて下着だって、絹で 出来ていて、なんだか知らないけど、靴下止めやガードルやブラジャーだって針金が 入っていて、なっちゃんのパンツみたく太いゴムひもの入ったやつとは違うぜ。」
「もう、たっちゃん 恥ずかしい事言わないでよ。顔が赤くなるじゃぁないの。でも 私だってデパートで流行のを買ってきて、穿いてるわよ。   
  そこへ 真理子が皆の声を聞きつけて庭に出てきた。 「ねえ、真理子、ちょっとおいでよ、幼馴染の近所の連中が来てるから、紹介するよ。」   若さと 花嫁の初々しさと都会のセンスを持って雑草の中に咲くバラのような、 真理子が笑顔一面に、小走りにやってきた。「はぁい 皆さんいらっしゃいませ  これからよろしくね。」と一通り挨拶を終えて、 話は女性連中心になった。
話題は東京のおしゃれの話だ。きっこが  「ねぇ、真理子さんちょっと後ろ、見せてよ。」と言ったので真理子が背中を見せて、 立った。
髪を軽く結び、耳には小さなイヤリングが光っていた。 部屋着のシルクのワンピースがゆったりと柔らかく 真理子を包んでいた。   竜彦は二人だけの時は良くするし、皆への自慢もかねて、真理子の後ろに 行き、ワンピースの裾に手をかて絹の下着を見せてやろうと、思い切り 巻上げた。   朝の 真理子である、夏である、彼女は下に何も着けていなかった。 朝日を浴びて、田舎娘の奈津子と菊子と同じように、陽に当たらない、真っ白な 可愛い 健康的なお尻が出た。   後はバラのとげに、引っかかれた、カントリーボーイの竜彦の腕の赤いすじと、 健康な笑い声が、田舎の空に広がり、青い空に広がった。   読んでいただきまして ありがとうございました。      宮司 みやじ。

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