過眼日録抄[2000/11]

《ベイビー! 逃げるんだ、げるんだ》逃げたって何も変わらぬような気もする 上妻朱美

2000/11/1(水)

新井理恵;2000/11;タカハシくん優柔不断(1);

ドラゴンコミックス;角川書店;¥900;A5判;;並製;152頁;△;

「男類女族」とか「子供たちを責めないで」とかは、つづきはどうなつてるんだらうか。しかしこの作者は本質的にモラリストだよなぁ。

山下和美;2000/7;ガールフレンズ(2);

ヤングユーコミックスワイド版;集英社;¥838(¥500);A5判;;並製;191頁;△+;

何といふか、人間性への信頼がこのもしい。

弐瓶勉;1998/12;BLAME!(2);

アフタヌーンKC-194;講談社;¥505(¥100);B6判;;並製;218頁;△+;

村上[2000]になまへがあがつてたなー、と思うて端本を買うてみたンすけど、なかなかおもしろい。しかし、判型がもつとおほきいはうが格好よからうなあ。

兵頭二十八;2000/10;軍学考;

中公叢書;中央公論新社;¥1,900(1割引);B6判;縦組;並製;350頁;△+;

つねづね気にはかかつてゐた著者なのだけれど、「中公叢書」といふところでやうやく好機とみて手にとるのが何とも亜インテリくさいな、オレ。内容は感服いたしました。

2000/11/2(木)

久米田康治;2000/11;かってに改蔵(9);

少年サンデーコミックス5539;小学館;¥390(N氏蔵書);新書判;;並製;190頁;△;

ひとは刺戟になれやすいから、本作もかなりエスカレーションしてゐるけれど、しかし感想としては、何といふか、爆笑といふわけではなくて(オタク)生活小実感集といふ感じ? まつたりとなまぬるいここちよさのなかにゐるやうな。あと、フェチズムの極みですねp.95.)は、「フェチズム」のまちがひ。

相原コージ;1998/8・2000/10;漫歌(1)(2);

ACTION COMICS;双葉社;各¥933(借覧);A5判;;上製;;△;

ノンブルをうつてないので、ページ数は不明(普通の厚さ)。いまどき、「4コマは起承転結だ」といふやうな(それこそ「奴隷の韻律」(小野十三郎)にとらはれた)考へをもつてゐるマンガよみはゐなからうから、そんな力まなくつても、とまづ云ひたい。こんな逡巡をしてゐるのは、哲学をしらないからだ、と中島義道ならいふだらうなー、といふのが感想(←あー、ふきだししかよんでねえな、オレ)。

2000/11/3(金)

文化の日。「本のリサイクルフェア」があり、市立中央図書館で以下の17冊の本をとつてかへる。

弐瓶勉;1998/6;BLAME!(1);

アフタヌーンKC-182;講談社;¥505(¥200);B6判;;並製;246頁;△;

何も「設定の説明」がないな。すげー。

野内良三;2000/8;レトリックと認識;

NHKブックス[894];日本放送出版協会;¥920(借覧);B6判;縦組;並製;235頁;△;

後半の文化論とか文学論とかは別として、前半の提喩・換喩・隠喩についてのところは最近の研究を要領よくまとめててわるくないんぢやないンすかね(かう書いたからというて、私に譬喩のことを訊いてきたりしないやうに。しかし、私はレトリックについては香西秀信さんがすすめてゐるやうな、説得の技法としての研究のはうが気になるなー)。

深田拓士;1997/8;脅迫;

TUKASA COMICS;司書房;¥857([2000/11/3]拾得);A5判;;並製;178頁;△-;

「道におちてるもんをひよいひよいとひろふんぢやない」つて親にいはれなかつたのか、つふ感じですな。さて、このひとはときどき見かける(最近だと、『ホットミルク』誌11月号(コアマガジン)の巻頭カラー)んだけど――雑誌の紙質だと特に――、絵(線)がきたないなあ、と思ひます[*]。内容についてもルーティン・ワークとしてのエロマンガでしかねえよなー。

[*]どうも、「ネオ劇画系」(永山薫)といふ「クラスター」に属するみたいですよ(『ホットミルク』誌12月号(コママガジン)「コミック・ジャンキーズ」特集・ハードなラヴ、を参著)。[2000/11/6]

2000/11/4(土)

野嵜健秀「言葉 言葉 言葉」の「闇黒日記」2000.11.4条からリンクがはられてゐて喫驚[*]。かく公開して自分で検索エンジンに登録したものにリンクせられてゐるのにおどろくといふのも変なはなしだが、私はかつて「言葉 言葉 言葉 掲示板」において、野嵜氏に匿名で狼藉をはたらいたことがあるから(まあ、それがなければこのリンクもなかつたらうだけれど)、非常にばつが悪い。私はこのページでも、平気ででたらめなことを書いてゐることがあらうかと思ひますので、御覧のかたでお気づきになられたらビシバシ御指摘いただければありがたく存じます(←これが一見謙虚なやうに見えて、その実、傲慢な居直りのたぐひにすぎぬことも、常識をわきまへたほどのかたには、きつとばれてゐるだらうけれど)。

[*]同「kotobaseek」の「國語國字問題」>「正統表記」のディレクトリからもリンクせられてゐる。勿体なし。[2000/11/5]

[*]同「kotobaseek」の「コンピュータ」>「CSS」ディレクトリの「css/html正統派」(!)にもリンクせられてゐて、ビックリ。忝なや。[2000/12/24]→「XHTML」に移動。

迫野虔徳;1998/2;文献方言史研究;

;清文堂出版;¥9,000(借覧);A5判;縦組;上製;404頁;△;

どうも私は、ひとのはなしを無暗に感心するか、感情的に反撥をくりかへすかのどちらかで(結局、理会にいたらない!)、この本については前者で特にいふことはありません。しかし、前半に(といふのは、こちらの注意の逓減にともなふ「偶発的欠落・accidental gap」(本書p.118.の用語)のおそれがつよいけれど)まちがひが散見せられるやうなので、気づいたかぎりであげておくと、

  • p.14.の16行目につけられた注番号(8)は、(6)がただしい。
  • 誤)遠藤邦基氏は、注15論文に(p.66.注19)→正)注18論文に
  • 誤)図書本類名義抄社複製(p.82.注1)→正)「図書本類名義抄」「勉社複製」
  • 誤)(1)論文(p.82.注4)→正)注(2)論文
  • 誤)小松英雄『日本語の歴史7 音韻』(一九八一 中央公論社)(p.127.注1)→正)『日本語の世界7 日本語の音韻』
  • 吉川泰雄氏「近古国語に於ける長拗音『ゆう』と『よう』との相関(p.158.)吉川泰雄氏「近古国語に於ける長拗音『ゆう』と『よう』相関(p.171.注5)とでは、どちらがただしいのか。

一体かうした素読みしただけで気づくやうなまちがひを嬉嬉としてならべたてるところに、この閉領域の主のいぢけた性根を見る思ひがしますが(←自分でさう云つとけば免罪されると思うてゐるところがまた!)、つぎはもうすこしまとも(さう)なことを。現代語と同じ「コワス」「コワレル」という形は、江戸時代になってから現れるようである。いま、偶目した二、三の例を示すと、次のようなものがある。(p.72.)といふ文中の「偶目」といふ語は、「たまたま目にした」といふぐらゐの意味だと思ふのだけれど、いま手もとの国語辞典と漢和辞典と2種づつ(『新潮国語辞典第二版』(新潮社、1995)『広辞苑第三版』(岩波書店、1983)、『新大字典』(講談社、1993)『学研漢和大字典』(学習研究社、1978))を見てみると、そのいづれにも立項されてゐない。ただ、「寓目」といふ語はある。これは「注目する」といふ意味だから別語ではあらうけれど、「寓」字が当(常)用漢字表外字であることと何か関聯してはゐないだらうか(「グウモク」といふ漢字語が空き家になつたところに、「偶目」といふ新語がもぐりこんだ、といふやうに)。

ひんでんブルグ・近石まさし・へのへの・愛夢由宇他;2000/10;凌辱学校Vol.4;

別冊エースファイブコミックス;松文館;¥790([2000/11/3]拾得);A5判;;並製;163頁;△-;

奥附(掲載マンガの登場人物はすべて18歳以上です)とあるのがイタイ感じ。

2000/11/5(日)

市野川容孝;2000/1;身体/生命;

思考のフロンティア;岩波書店;不明(借覧);B6判;横組;並製;129頁;△;

「フーコーのおけら」(福田和也)と言へば言へなくもないけれど、悪くなかつたです。

2000/11/6(月)

日垣隆他;2000/10;サイエンス・サイトーク 愛は科学で解けるのか;

新潮OH!文庫025;新潮社;¥505(1割引);文庫判;縦組;並製;210頁;△+;

この本とは関係ないことですが、日垣氏は別名義[*]で小説を書いてらつしやると聞いたやうに思ひます。どういふなまへなのか御存じのかたがいらつしつたらお教へくださいまし。

[*]と学会[2001:240a](志水一夫執筆の注)によると、愛沢信吾の由。

吉野朔実;1994/10;ECCENTRICS(4);

ぶ〜けコミックスワイド版;集英社;¥534;A5判;;並製;156頁;△;

2000/11/7(火)

古橋信孝;1998/12;和文学の成立 奈良平安初期文学史論;

古代文学研究叢書2;若草書房;¥9,000(借覧);A5判;縦組;上製;401頁;△;

んー、「野心作」というておかうか。そもそも、この本を見てみようと思うたのは、西尾幹二が親父系オピニオン誌で『国民の歴史』(未見)を書くためによんでおもしろかつた本のひとつに数へてゐたからで、たしかに貴重な試みだとは思ふのだけれど、短い文が(山を缺いて)ならべられてゆく叙述ぶりといひ――『国語と国文学』誌にのつた書評だつたか最後のはうに、編輯者はもつとよみよい文にかきなほさせるべきぢやなかつたか、といふ意味のことが書いてあつて、その書評だけ見たときは、何もそこまで、と思うたけれど実際よんでみると、たしかに、と思ふ――、ちよつと評価しにくい。気づいたまちがひの類は次のとほり。

  • 誤)土左日記で「日」や「見」は仮名として使っている可能性もある。(p.194.)→正)仮名
  • これまでの論者はより表現者の心にそった表現は仮名文がすぐれていると考えている。しかし、それは文体の違いであった。漢詩文が堕るわけではない。(p.197.)といふのを、「おとる」とよませるのに無理はないか(まあこれは、著者の裁量のうちの問題かもしれぬが)。
  • これらは恋の葛藤の末、悲劇的な結末に至る伝承だから、仮名散文の物語になりえたのではなぜだろうか。(p.224.)→多分、「ないだろうか」

そして、何よりの問題は、pp.176,222.の2箇所で、古筆家の「小松茂美」の名をあやまつて「小松英雄」としてゐることである。もし古橋氏が本当に小松英雄の論に接してゐたならば、たとへば『土左日記』論はまるでちがつたものになつてゐただらう。残念なことである。

魔夜峰夫;2000/11;パタリロ西遊記!(1);

花とゆめCOMICS;白泉社;¥390(1割引);新書判;;並製;190頁;△;

2000/11/8(水)

山口瞳;1968/4;江分利満氏の華麗な生活;

新潮文庫;新潮社;¥220(¥110);文庫判;縦組;並製;191頁;△;

2000/11/9(木)

笙野頼子;1999/11;ドン・キホーテの「論争」;

;講談社;¥1,900(¥950);B6判;縦組;上製;318頁;△;

みづから正しいと信じて書く言葉の何と強いことか。(でも、依拠する文藝評論家が清水良典や巽孝之に、ミナトぢやあなー。つていかにも純文ぎらひの評論家然としたことを感じてしまうた。あと、大塚英や井口時の名をまちがうてゐるのは一流出版社の本としてどうよ。)

くらもちふさこ;1995/7・1995/10・1997/6;天然コケッコー(1)(2)(6);

ヤングユーコミックス コーラスシリーズ197・209・♦;集英社;各¥476(各¥100);B6判;;並製;192・206・182頁;△;

三原ミツカズ;1997/6・1998/5;ハッピー・ファミリー(1)(2);

FC GOLD;祥伝社;各¥924(各¥100);A5判;;並製;192・184頁;△;

小池田マヤ;2000/12;バツイチ・30ansトランタン(2);

BAMBOO COMICS;竹書房;¥590;A5判;;並製;139頁;△+;

「漫歌」が人生の1断面を4コマといふ形式に結晶せしめやうとするのに対して、本作はストーリー4コマの手法によつて30前後の(男)女の人生の困難と救ひとを説得力をもつてゑがきだしてゐる。美事な達成というて差支へありますまい。

荒俣宏;2000/10;プロレタリア文学はものすごい;

平凡社新書057;平凡社;¥680(1割引);新書判;縦組;並製;258頁;△;

『月刊百科』連載中、貴司山治のプロレタリア文学『忍術武勇伝』を紹介されたときにははつきりいうてぶつとんだ(ちなみに忍術つかひは何と桂小五郎。しかし、どうしてあの連載時のすばらしい“プロレタリ芸術アートの驚異”といふ言葉を書名につかはなかつたのか)。荒俣氏にくらべれば、「文学史を読みなほす」などというてゐる近代文学研究者流の為事はさして面白くないんである。

加藤伸吉;1996/6・1996/8;流浪青年シシオ(1)(2);

モーニングKC-1164・1168;講談社;各¥456(各¥100);B6判;;並製;166・182頁;△+;

紫堂恭子;1989/2・1990/2・1990/8・1991/3・1991/10・1992/7;辺境警備(1)-(6);

PFコミックス71-76;小学館;各¥485(各¥100);B6判;;並製;194・194・211・194・203・202頁;△+;

小谷野敦「紫堂恭子頌」(「裸の王様の耳はロバの耳(9)」『本の旅人』誌11月号、角川書店)にあふられて購入。ファンタスティック・コメディ。「隊長さん」はいい男だよなぁ(身近にゐたらたまらんだらうが)。けふよんだマンガはどれも幸せな感じでうれしかつた。

2000/11/10(金)

キューティー・コミック 12月号;;

宝島社;;B5判;平綴;△;

不断は購読はしてないんだけれど、なぜだか出先(このとき高知)だとほしくなるんだよなー。しばらく見ないうちに色々しらない人がかいてゐてなかなか面白かつたけれど、安野モヨコの亜流みたいのがおほいやうに感じたのも事実。あと、黒田硫黄「肉じゃがやめろ」(最終回)の直後に、女の子が好きな男に肉じゃがをわたさうとして男の部屋のまへで待つてゐるといふ筋の橋本ライカのマンガを載せてゐるのは故意なのか。

2000/11/12(日)

岡田斗司夫;1999/5=2000/10;オタク学入門;

新潮OH!文庫019;新潮社;¥714(1割引);文庫判;縦組;376頁;△;

ちなみに、波方でフェリーをまつ車中でよんでゐて突然わらひごゑをあげたのは、岡田氏が村上隆の「ヒロポンちゃん」を見て、

こりゃブッサイクですね〜。どれくらい不細工かというと、まるで85年あたりに不動産屋が『いっちょ映像業界にでも進出するかぁ。まずアニメでも作るべ』とかいって、スカみたいなスタッフ集めて適当にでっち上げて発売したはいいけど、300本しか売れなかったアニメのキャラクターみたいにブッサイクです。

(pp.192-3.)

と云うたといふくだりをよんででした。ちなみに、私は「ヒロポン」ではないけれど、「Project ko2」は広島現代美術館で実物を見たことがあって、そのときの感想は、(写真とちがうて)随分よごれてるなー。といふことでした。

2000/11/13(月)

稲岡耕二編;1999/11;声と文字 上代文学へのアプローチ;

;塙書房;不明(借覧);A5判;縦組;上製;378頁;△;

自分が「略体」といふ概念を誤解してゐたことに気づく。

2000/11/14(火)

鶴見俊輔;1985/4;文章心得帖;

潮文庫238;潮出版社;¥320(¥50);文庫判;縦組;並製;165頁;△;原本「まえがき」の日づけは「一九八〇年三月二日」

宇仁田ゆき;2000/11;宇仁田ゆみ作品集 楽楽;

JETS COMICS 810;白泉社;¥505;B6判;;並製;190頁;△;

いや、よかつたンすよ。ほんわりしてて、絵も綺麗で適度にHくて。ただ、かう毎日マンガを買うてしまふ自分がなー(どうかしてる)。

山田詠美;1988/3→1991/3;私は変温動物;

講談社文庫;講談社;¥380(¥100);文庫判;縦組;並製;212頁;△;

山田詠美の小説は一作もよんだことはないのだけれど、『文學界』――ところで、大塚英志の「サブ・カル文学論」連載中止になつたみたいつスね。この雑誌も半端な越境が好きなくせにケツの穴ちひせえな。――新人賞の選評は毎回楽みにしてゐる。で、エッセイ集をよんでみることにしたのだけれど、ま、普通でした。といふか、別に彼女の生活に興味がある訣でなし。さうさう、小説よんだことないつて書いたけれど嘘でした。以前『快楽の動詞』(文春文庫)を読みました。多分傍流に属する作物だと思ふけれど、これ最ッ高にセンスがいいです。

2000/11/15(水)

安野モヨコ;2000/11;ハッピー・マニア(10);

フィールコミックスゴールド;祥伝社;¥857;A5判;;並製;179頁;△;

貴子つて「まっすぐにいこう。」(背面から見た少女マンガ)だと私は思ふ。うーむ、怖いなあ。そしてタカハシを貴子にうばはれたカヨコは、傷心旅行先の箱根で旅館の若旦那と……。この若旦那のキャラがまたヘン。安野氏は現代恋愛愚者絵巻をゑがかうとしてゐるのだらうか。(←何か未整理な感想つスね。そして、恋愛のステージからおりてしまうてゐる私には所詮何もいへはしないのだが。あと、相不変小ネタが絶妙です。)

小池田マヤ;2000/11;…すぎなレボリューション(4);

ワイドKCKiss 456;講談社;¥571;A5判;;並製;100頁;△+;

…僕もしつけられたいっ

小池田マヤ;1999/9;マイペース!ゆず★らん(1);

ACTION COMICS;双葉社;¥619(¥250);A5判;;並製;123頁;△-;

お、大阪の女のひとつてかうですか?

岡崎京子;1985/8;バージン;

白夜COMICS;白夜書房;¥850(¥300);A5判;;並製;161頁;△;

題名のとほりの、岡崎氏の処女単行本。のちのちの長尺物も勿論好きだけれど、この本にをさめられた短篇群には既にしてそのポエトリィとセンスがきらめいてゐて、素敵でした。

西村しのぶ;1999/12;ライン(2);

ワイドKCKiss 421;講談社;¥695(¥200);A5判;;並製;160頁;△+;

1巻を持つてると思うて買うたのだけど、持つてなかつた(『RUSH』(アクションコミックス)とごつちやにしてゐた)。しかし読むのに何のさしつかへもなかつた。お姉さんは美人で凛凛しいし、男の子はカッコよくて可愛い。仲間はお莫迦でわいわいと楽い。いいなあ、かういふの。

金森修;2000/6;サイエンス・ウォーズ;

;東京大学出版会;¥3,800(借覧);B6判;縦組;上製;457頁;△;

知的詐欺』を私はおいしい水を飲むやうに読んでしまつたけれど、著者はさうではなかつたやうだ。サイエンス・ウォーズの概観をさせてくれたことには感謝したいし、学者が決して価値中立ではゐられない、といふのが科学論の教へなのは私もわきまへてゐるつもりだけれど、この反応は何だかなあ。あと、著者と同じくサントリー学芸賞受賞者の東浩紀がソーカル事件(といふか『「知」の欺瞞』の邦訳)を機縁に書いた「ポストモダン再考」(『アステイオン』誌54号)もけふたちよみしましたが、ピンときませんでした(特に目新しいことがなかつたやうな気がする)。

2000/11/16(木)

メロディ 12月号;

;白泉社;;B5判;平綴;△;

佐伯彰一;2000/4;作家の手紙をのぞき読む;

;講談社;¥3,200(借覧);B6判;縦組;上製;255頁;△;

それとも君は手紙書くのはお嫌いかな。ぼくが手紙大好きというのは、仕事をやらずにいて、何かやったという気持になれるという、こんな素敵な方法又とあるもんじゃないよ。

(p.102、ヘミングウェイのフィッツジェラルド宛の手紙(1925年夏)から)

この「手紙」を「日記」におきかへれば今の私の状況そのままだ(陸でもない自己顕示にすぎぬのに)。

2000/11/17(金)

壽岳章子;1983/10;室町時代語の表現;

;清文堂出版;不明(借覧);A5判;縦組;上製;318頁;△;

ポール・クルーグマン 山岡洋一=訳;1996=1997/3=2000/11;良い経済学 悪い経済学;

日経ビジネス人文庫;日本経済新聞社;¥743(1割引);文庫判;縦組;並製;298頁;△;『クルーグマンの良い経済学悪い経済学』を改題

堀江敏幸;2000/5;書かれる手;

;平凡社;¥2,000(借覧);四六判;縦組;上製;288頁;△;

保坂和志;2000/7;生きる歓び;

;新潮社;¥1,500(借覧);B6判;縦組;上製;158頁;△;

よみをへてからあらためてジャケットの写真を見ると、たしかに「花ちゃん」には左の眼球がなかつた(これまでいかに漫然とながめてゐたにすぎなかつたかの証左)。

2000/11/18(土)

菜摘ひかる;1998→2000/11;風俗嬢菜摘ひかるの性的冒険;

知恵の森文庫;光文社;¥514;文庫判;縦組;並製;239頁;△;

現在のジェンダー・バイアスを纏綿させてゐる限り、私はセックスを肯定するつもりはないけれど、だからといつて、著者を非難する気は毛頭ない、といふか出来ない。しかし、射精産業セックス・ワークは身も心も駄目にするところがやはりあるよなぁ、と恐らくは著者の意図に反して、私は思つた。

籾山明;1999/4;漢帝国と辺境社会 長城の風景;

中公新書1473;中央公論新社;¥760(借覧);新書判;縦組;並製;252頁;△;

このあひだの『国語学』の展望号で今野真二先生が好著としてあげてらつしつたので、よんでみた。紹介ではタイトルだけ見て「辺境社会」といふのはてつきり日本のことだと思うてゐたら、副題を見れば分るやうに、居延や敦煌など北辺のフロンティアのことだつた。昔つから文書社会だつたんだなー。そして、古隷[*]のうつくしさ。

[*]隷書のうち、波磔のないものを「古隷」、あるものを「八分」といふやうですが(江守賢治[監修]・吉成八重子[書]『ことばの手帳楷行草・隷書』三省堂)、ここではそれに拘らず、単に「昔の隷書」ぐらゐの意味で用ゐています。[2000/11/20 Kさんの御指摘により訂]

池上洵一;1983/8;『今昔物語集』の世界 中世のあけぼの;

;筑摩書房;¥1,600(借覧);B6判;縦組;上製;286頁;△;

2000/11/19(日)

倉阪鬼一郎;2000/5;夢の断片、悪夢の破片 倉阪鬼一郎のブックガイド;

;同文書院;¥1,800(借覧);B6判;縦組;上製;318頁;△;

怪奇小説にまるで親しまぬ私がこの本を手にしたのは、『活字狂想曲』(時事通信社)の著者のものだつたからである。滑稽化された私の上手。

2000/11/20(月)

桑田乃梨子;2000/11;真夜中猫王子(1);

花とゆめCOMICS;白泉社;¥390(2割引);新書判;;並製;182頁;△;

2000/11/21(火)

小松英雄博士退官記念日本語学論集編集委員会;1993/7;小松英雄博士退官記念日本語学論集;

;三省堂;不明(借覧);A5判;縦横両組;上製;784頁;;

集中の舩城俊太郎「変体漢文はよめるか―『将門記』による検討―」がよんでおきたくて教育から借りてきたのだけれど、一往全ページ雑と目はとほして、(文法論を中心に)訣わからん、と思うた次第。いかんなぁ、こんな事ぢや。舩城論は、真福寺本と楊守敬旧蔵本との附訓を比較して、その相違を論拠に、峰岸明の「定訓」説を卻け、平安時代の変体漢文においても[亀井孝が古事記について述べたのと同様に――引用者注]、漢字の意味をただしくとらえて、文意をあやまらず、それらしく訓読されていれば、一つ一つの漢字は、その作者の用字意識どおりによむことを、かならずしも要求されるわけではない(p.521.、強調原文)といふごくあたりまえ(p.522.)のことを主張するもの。うーむ、どうなんだらうか。

万一この辺の述語や固有名にひつかかつて、うつかりここを見てしまうたアカデミックなかたの為のおまけ(「淫のひびき」と「『ザ・レイプ・オブ・南京』の研究」とのあひだの書目に注目。あと、もし国語学叢書本を譲つてくださるといふかたがいらつしつたら是非御聯絡ください)。

ゆうきまさみ;2000/12;じゃじゃ馬グルーミン★Up!(26);

少年サンデーコミックス5676;小学館;¥390;新書判;;並製;188頁;△;

最終巻。まあ、こんな感じですか(←ひとりよがり)。

沢渡朔(撮影);2000/9;ON VISUAL No.3 眞鍋かをり;

;アスキー;¥667;A4判;;平綴;;△+;

あー、情けないなー、男つて。(←何ですかそれは。ところで、いつぞや秀実が、丸山【マサ】男に、【真】でなくて【眞】をつかふ最近の傾向(かどうかも検討の餘地はあらうけれど)に関説して丸山の canonaize を危惧してゐたけれど、ならば【眞】鍋かをりはどうなのか。)

澤田昭夫;1977/6;論文の書き方;

講談社学術文庫153;講談社;¥400(¥50);文庫判;縦組;並製;266頁;△;

今更こんなのよんでんぢやねえよ、といふ感じですか。まずい話の欠陥は、話自身が示しているし、聴衆はとっくに気が付いているはずです。(pp.197-8.) 先生、きついです。

鈴木孝夫;1999/12;日本語は国際語になりうるか;

鈴木孝夫著作集3;岩波書店;¥3,500(借覧);B6判;縦組;上製;339頁;△;

2000/11/22(水)

サイゾー 12月号;

;インフォバーン;;中綴;△+;

[ヴィデオ]フリクリ(3) マルラバ;

;(レンタル);VHS;カラー;ステレオ;;○;

ニナモリ。入浴。ブルマ。必見。

江戸川乱歩;江戸川乱歩コレクション・III 一人の芭蕉の問題―日本ミステリ論集―;

河出文庫;河出書房新社;¥854(¥440);文庫判;縦組;並製;334頁;△;

2000年12月購入豫定
発売日著者名書名文庫・コミックス名本体豫価
6金子光晴助平極道小学館文庫未定
6橋本治これも男の生きる道ちくま文庫600
7あさりよしとおまんがサイエンス(7)ノーラコミックスデラックス(学研)781
7入江紀子ママの恋人(1)秋田コミックスエレガンス448
8みうらじゅん見ぐるしいほど愛されたい文春文庫524
10代々木忠オープン・ハート幻冬舎文庫未定
11小花美穂パートナー(3)完りぼんマスコットコミックス390
11矢沢あいNANA―ナナ―(2)りぼんマスコットコミックス390
11谷川史子魔法を信じるかい?(1)りぼんマスコットコミックス390
11大泉実成消えたマンガ家アッパー系の巻新潮OH!文庫600
11大泉実成消えたマンガ家ダウナー系の巻新潮OH!文庫543
11日垣隆他サイエンス・サイトークウソの科学 騙しの技術新潮OH!文庫486
11松沢呉一魔羅の肖像新潮OH!文庫752
15鴨居まさね雲の上のキスケさん(3)YOUNG YOUコミックス505
15あさりよしとおHAL(1)GUN COMICS(ワニブックス)800
15武藤禎夫校注万治絵入本伊曽保物語岩波文庫760
15佐竹昭広萬葉集抜書岩波現代文庫1,200
20鹿島茂パリ・世紀末パノラマ館中公文庫850
22富沢ひとしミルククローゼット(2)アフタヌーンKC505
22養老孟司身体の文学史新潮文庫400
25火浦功未来放浪ガルディーン(3)角川スニーカー文庫未定
25未定フリクリ(3)角川スニーカー文庫未定

子安宣邦『「長問題」とは何か』(ちくま学芸文庫)。ホントに何なのか?

2000/11/23(木)

夕方6時ごろ家を出て、横川シネマにサブ・カル文化人絶讃の『新しい神様』(土屋豊監督)を見にゆく。私は7時からの上映だと思ひこんでゐたのだけれど、9時からだつたので、『ざわざわ下北沢』(市川準監督)も見ることにする。学生1,500円。悪くはなかつたけれど、何だか話の筋がよくおへなかつた。一旦出て、コンビニで唐揚焼きそばパンと罐コーヒーを買うて小腹をこしらへる。『新しい神様』を見る。2本目は1,000円。“ミニスカ右翼”雨宮処凛はもてはやされてるわりには、そんなに可愛くない。中の議論も何か底が浅いし。とか思うて見てゐたけれど、1999.2.25の風呂上がりの画像の辺から印象が変りました。「雨宮処凛は私だ。」

2000/11/24(金)

渡辺実;1981/7→2000/11;平安朝文章史;

ちくま学芸文庫;筑摩書房;¥1,200(1割引);文庫判;縦組;並製;379頁;;

黒須重彦;1992/4;漢字文化圏の諸問題―〈こえ〉と文字―;

;武蔵野書院;¥4,369(借覧);A5判;縦組;上製;206頁;△+;

著者の言ふ「漢字文化圏(における文字活動)を考えるときの公式」は次のやうなものだ。

           ┌──(b)─その(v)の漢字表記
(v)──〈(a)〉─┤
           └──(c)─その(v)の漢語訳
  • (v)は、人間の特別のときの声(p.11.)
  • (a)は、その録音。

日本上代では古事記・万葉集が(b)に、日本書紀が(c)に該当する。ほかにもこの公式から、源氏螢巻の「物語論」、新撰万葉集、楚辞などについて新たな創見を述べてゐる。興味深い一冊でした。

中村康夫著;2000/7;古典研究のためのデータベース;

国文学研究資料館編原典講読セミナー[5];臨川書店;¥2,300(借覧);B6判;縦組;並製;194頁;△-;

この本自体にはそんなおおッと思ふやうなことは書いてなかつたのですが、プログラムの勉強せななぁ、と思ひました。

2000/11/25(土)

椎名林檎姫御誕生日。

広島駅の廣文館で「ナナ」(『クッキー』誌、集英社)をたちよみしてゐたら、となりに爺さんがやつてきて、突然「マンガ家はこんなきれいな絵をあんなに早くかいてすごいもんだ。しめきりは大変さうだが、本当に才能があるのだらう」といふやうな意味のことを云ひはじめた。何だつたのか。あさりよしとおの新連載「細腕三畳紀」(『アフタヌーン』誌、講談社)、「からくりサーカス」「改蔵」(『週刊少年サンデー』誌、小学館)を見てかへる。誰か僕の取扱説明書を見つけて早く論文モードに切換へてください。

みうらじゅん;1985/12→1996/12;万博少年の逆襲;

河出文庫;河出書房新社;¥583(¥100);文庫判;縦組;並製;221頁;△;『東京の関西文』の内容を一部変更し改題

入江紀子;2000/12;あかピンク(1);

MIU COMICS;秋田書店;¥400;新書判;;並製;191頁;△;

つひに普通のコミックスが400円(消費税も一所だと、420円)になつたか。

2000/11/26(日)

黒田弘子;1995/3;ミミヲキリ ハナヲソギ ―片仮名書百姓申状論―;

中世史研究叢書;吉川弘文館;¥3,400(借覧);B6判;縦組;上製;342頁;△;

何かSMチックなタイトルですが、さうぢやありませんよ(←変な気をまはしすぎ)。神戸和昭[2000]「「表記史」研究十箇条」がすすめてゐたので読んでみました。

本書は、健治元年(一二七五)、紀伊国阿弖河庄上村の百姓らが、地頭の非法を庄園領主に訴えるべく認めた有名なカタカナ書き訴状、「阿弖河庄上村百姓等申状」を資料とした中世庄園史の研究書である。日本語史関係の論考にも広く目を配りながら行われた、全文の綿密な解読を踏まえて論が展開されるだけに、その指摘には十分な説得力がある。日本語史研究上からも見逃せない言及箇所も多い。ここで詳しい紹介は出来ないが、「表記史」の立場からは、特に、第三章でなされる、社会階層と識字に関する言説などが注目されるだろう。[ibid:71b]

といふのに特につけくはへられることはありません。第三章では、各所で援用されることのおほい網野善彦「日本の文字社会の特質をめぐって」(『日本論の視座』小学館)のある部分が否定されてゐて面白い。文字生活については、私も色色かんがへてみたいとは思つてゐるのだけれど。あと、和様漢文といふことばが1頁にでてくるけれども、古文書学のはうではさう言ふんでせうか。

2000/11/27(月)

林望;1997/10=2000/11;落第のスゝメ;

文春文庫;文藝春秋;¥419(2割引);文庫判;縦組;並製;230頁;△;『ホーソンの樹の下で』を改題

知的消閑の書としては上乗の出来だと思ふ。ただ、著者が、カルチャー・センター好きのひとびとに人気のマルチ(無論、耳がとんがつた機械の耳で廊下掃除をしてゐるといふ意味ではない、為念)な才能として消費されてしまふのは非常に残念だなあ、と私は思うてゐる(このマーケティングがあたつてるかどうかも分らんが)。あと、リンボウ先生にしてかくて、男は、かわいい女を抱き、山ほどの戯言睦言を口にし、やがて女の中で果てた。/さて、そこからが、男女のセクシュアリティの違いである。男が女を理解できず、女が男を恨んだりするのは、まさにこのあわいである。恋を知る男女、すべからくこのところ身に覚えがあろう。(p.32.、下線は引用者)のやうな「すべからく」の誤用があるのを見ると(他1箇所)、「とても」や「全然」と同様に陳述副詞から程度副詞化してゐるので、もう咎めるべきぢやないのかな、とも思ふ。

馬渕和夫;1993/7;五十音図の話;

;大修館書店;¥2,000(借覧);A5判;縦組;上製;191頁;△;

この本は(直段や造本からして)一般むけだと思ふのだけれど、豫備知識がないと分らないんぢやないかしら。ところで、「円」の英語表記はどうして"yen"なんでせう。字音かなづかひが「ヱン」だから? ハッ、よもや「アイウエオ/ヤヤ行のイ、「イ」字の上下が逆転ヤ行のエ、「エ」字の1劃目を右から左に払ふエオ/ワヰ于ヱヲ」といふ妙な音図(ペ17)をつくつた音義派国学者の陰謀?

小谷真理;1999/12;おこげノススメ カルト的男性論;

;青土社;¥1,900(借覧);B6判;縦組;上製;281頁;△-;

2000/11/28(火)

大野潤子;2000/12;SスクールCカウンセラー・ポチ(2);

別コミフラワーコミックス7335;小学館;¥390;新書判;;並製;189頁;△-;

1巻を買うたのは、秋の学会で名古屋にいつたときだつたから、1年ちょいまへだ。露骨に川原泉なヒロインに興味をもつて購入したのだつた。お話はさう悪くないけれど、如何せん絵がなー(とても20冊以上コミックスを出してるとは思へん)。

家辺勝文;1998/7;デジタルテキストの技法;

メディアとコミュニケーション叢書 第1巻;ひつじ書房;¥2,400(借覧);B6判;横組;並製;173頁;△;

2000/11/29(水)

名取智子;2000/12;レディ・ギネヴィア;

小学館文庫;小学館;¥648;文庫判;;並製;445頁;△++;

マンガ文庫つてなんかよむの躊躇する面倒なところがないですか。この本も眞鍋かをりのグラヴィア・ムックと一緒に買うたンすけど、しばらく本棚においたままでした。よんでみると、いやあ、面白かつた。馬好きで男勝りの美人(川原泉の傑作「架空の森」を思ひ出しました。)ギネヴィアが、好きな男(というても、人間はみな「へのへのもへじ」にしか見えぬところ、リアンダだけは目鼻がついて見えるといふ程度)には平気でHなのがそそるなあ。本作の真つ当なレビューは、「青少年のための少女マンガ入門」を御参看ください。

2000/11/30(木)

向井敏;1983/6→1993/3;書斎の旅人;

中公文庫;中央公論社;¥660(¥200);文庫判;縦組;並製;354頁;△;

なんちふか、精精がとこ1.5流でしかないのに自分を1流だと思うてゐるところがイタイ(かがみを見るやうだ)。結局この一派は、谷沢永一『紙つぶて』(PHP文庫)を読んでおけば、充分だと思ふ。

至;1999/1;遊文録 国語史篇二;

至論文集;和泉書院;¥11,500(借覧);A5判;縦組;上製;377頁;△;

萬葉集の用字・表記法研究。

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