「大家の日記帳 11」

 

 

               (四十三ページ)  

「ゲッホゲッホ!っあ〜、ほこりでたまらんなぁ・・・ゲッホゲッホ!」

今、亮がいるのは長屋の物置。

物置と言うと小さいイメージがあるがここのは地下二〜三階あり、かなりの物が締まわれていた。

要するに、すごくでかいと言う事なのだ。

そして、亮はその倉庫の一階部分の掃除をしているのである。

「せやけど、こんなに大きいとは思ってへんかったなぁ・・・。」

と、はたき棒とほうきを使ってほこりをはらっていた。

その時・・・

カサカサカサ・・・

「ん?何の音や?」

カサカサカサ・・・

「・・・・・ま・・・まさか・・・。(汗」

みるみる亮の顔が青ざめていく。

カサカサカサッ!!

天井にゴキブリが出てきた。

「・・・ぎ・・・ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

亮はゴキブリが大の苦手である。

その拍子にはたきやほうきを思いっきり振りまくる。

「あっちいけぇー!!@d;+〜#$&(=¥:}」

まさに混乱していた。

その時、ほうきが本棚に当たって倒れてきた。

ガシャァーン!!!

亮は棚の下敷きとなり、ゴキブリはどこかへと姿を消した。

「・・・・いてて・・・、ったく、なんでこんなところにゴキブリが・・・ん?」

亮が起きあがると目の前の二冊の本に目を引かれた。

一冊は「機兵設計図」と言うタイトルだった。

もう一冊は本というか日記帳だった。

表紙には「太正日記帳」と書かれ、名前の欄には墨で「竹内 浩三」と書かれていた。

どっちも同じ年代の物らしい。

「機兵設計図か・・・・どれどれ。」

と、亮は早速見るやいなや驚いた。

「な・・・・・なんでガンバイザーが・・・・。」

そう、その本にはガンバイザーが載っていた。  

 

元々、つばめが乗るガンバイザーは亮が地下の部屋で見つけた屑鉄だった。

それがあまりにもロボットっぽいからと、亮がそれをベースに作り上げた。

だが、まさか太正頃の書物に載っているとは誰もが予想もしないだろう。  

「この時代にロボット・・・そんなに科学が進んでいたんか。」

そして、もう一つの本・・・と言うか日記帳にも目を通してみた。

「竹内浩三・・・まさか、ひいおじいちゃん?なんてな。」

と思いながらどんどん目を通してみる。

あるページにさしかかった時、白黒の写真が一枚はらりと落ちた。

「白黒写真か・・・・ええ!!??

拾い上げた写真を見て、声と同時に日記を落とす。

その写真には、一人の男性と老人が二人。

あとは女性が九人と、ずんぐりとした機体が十体。 さらに、ガンバイザーと思われる足下に亮と少年がうつっていた。

「・・・・・は?ナンデスカコレハ?」

まさに混乱するしかないような写真である。

その写真の裏には「太正一三年、帝國華撃団ト竹内サント共ニ」

と書かれていた。

とその瞬間、倉庫の外に何者かの気配を亮は感じていた。

ただ者ではない・・・邪悪な気を。

「・・・・何かいるなぁ。」

亮は小手を手にして外に出る。

すると、外には2〜3mはあろうかという機械の巨人がいた。

「なんじゃこりゃぁ!」

「・・・・グゥゥゥゥゥゥ・・・。」

その瞬間、その巨人は亮に襲いかかった。

バゴォン!

巨人のパンチは、亮がいたところを突く。

その時亮は、巨人の背後にいた。

「甘いでぇ。おととい来ぃや!小手切りっ!!」

すると巨人は真っ二つに切れ、音を立てて消えていった。

「どうした!亮!今、何か邪悪な気があった気がするが。」

素子が慌てて飛び出してきた。

「ああ、なんかごっついいかついヤツがおったんや。」

「それでどうした?」

「わいの小手切りで一発やで。」

と、得意気に話した。  

 

その後、掃除を中断して日記を詳しく読んでみることにした。

その日記によれば、太正12年から13年にかけて大事件が起こっていたらしい。

その事件にはさっきの写真の「帝國華撃団」と言うのが解決していったらしい。

そして、さっき襲ってきたのは脇侍という当時の敵の一兵らしい。

「ふ〜ん、この時代って結構複雑なんやなぁ・・・。」

そして、ページの半分にさしかかった。

「これで最後か・・・ん?なんや?この機械。」

と、日記をくり抜いたところにあった機械のスイッチを入れる。

その瞬間、亮の周りに光の玉が現れ、そして消えた。

「亮〜、遊びに来たわよ〜・・・・あれ?いないの?」

つばめが亮の部屋に訪れたときには亮の影はなかった。

 

 

             (四十四ページ)  

・・・時は太正13年

ここは東京の銀座にある大帝國劇場。

この劇場には季節ごとに劇をしており、劇以外の時は団員が稽古をしている。

この劇場内には機密がある。

表は「帝國歌劇団 花組」として、緊急時には「帝國華撃団 花組」となるのである。  

「帝國華撃団 花組」・・・

それは、警察や軍隊が手に負えない魔物などと戦うべく結成された秘密部隊である。

他にも月組、風組などもある。  

そして、大帝國劇場(以下:帝劇)の中では・・・

 

「うっ・・・・よっと、これでいいのかな?椿くん。」

「はい、ありがとうございます。大神さん。」

大神と呼ばれた青年は、段ボールを売店に運んでいた。

本名は大神一郎。

普段は帝劇でもぎり等をしている。

だが、ひとたび警報が鳴れば「帝國華撃団 花組隊長」となるのである。

大神は、花組唯一の男性隊員である。

と言うのも、ここの主力兵器、『光武・改』を動かすにはかなりの霊力が必要なのである。

霊力が高い者はなぜか女性が多く、大神を除いて隊員は全員女性である。

 

「大神さ〜ん、ちょっと手伝ってくれませんか〜?」

「ああ、今行くよ。さくらくん。」

大神を呼んだのは真宮寺さくら。

『帝國歌劇団 花組』では隊員内の人気では一・二を誇る。

『北辰一刀流』という剣術の達人でもある。  

「それで、なにを手伝えばいいんだい?」

「大道具部屋の掃除を手伝って欲しいんです。でも、小道具の整理だけですから。」

「わかったよ。それじゃあすぐに済ましてしまおう。」

と、大神とさくらは大道具部屋へ行った。  

 

その頃、帝劇の二階のサロンでは一人の美女と大柄な女性がいがみ合っていた。

「なんであなたはこうも下品なの!!」

「あんだとぉ〜、このヘビ女!!」

美女の方の名は神崎すみれ。

この『帝國歌劇団 花組』のトップスタアである。

神崎財閥の一人娘でもある。

ちなみに、『神崎風塵流』という長刀の免許皆伝という腕前を持っている。

もう一人の大柄な女性の名は桐島カンナ。

かなりの大食いで、『帝國歌劇団 花組』では子供達に大人気の役者である。

カンナが使うのは、『琉球空手桐島流』という。

この武術の第28代継承者でもある。

この2人は、帝劇内では「名(迷?)コンビ」と言われている。

 

「はいはい、喧嘩はそこまで。」

この喧嘩を止めたのはマリア・タチバナ。

ロシア人とのハーフで、射撃の名手である。

劇中では、男役を数多くこなしている為に女性に大人気である。

「そうだよ。喧嘩したら、アイリス怒っちゃうよ〜。」

マリアの後ろから出てきたフランス人形みたいな可愛らしい子供・・・

イリス・シャトーブリアン、通称アイリスである。

フランス人であり、霊力は隊員の中ではトップである。

劇中では唯一の子役を演じている。

「全く、騒がしいデ〜ス。」

「・・・・・。」

この騒ぎに2人が来た。

一人はつい最近、花組に入ったソレッタ・織姫。

まだ日本語が慣れてないのか、変な話し方をしている。

日本の男を何故か毛嫌いしている。

もう一人の無口な隊員は、レニ・ミルヒシュトラーセ。

織姫とは同期で入隊している。

何事も確実にこなすが、無口で表情を表に出す事は滅多にない。  

 

その時、2人の背後からヘンテコな機械を持った女性がやってきた。

「くくく・・・こういう時のために用意しといた、「はんていくん」やぁ!」

この女性は、李 紅蘭。

発明好きで、少し変わった関西弁を使う。

この帝劇の地下にある「光武・改」と言うロボットを整備するのもこの人である。

 

「「ゲッ!それだけは!!」」

すみれとカンナが紅蘭を止めに行くが、時すでに遅し。

「ほな、ポチッとな。」

ドカーーーーーーーーーーン!!!!

轟音と共にその「はんていくん」とやらは見事に爆発した。

なぜか怪我をした者はなく、みんな黒こげである。

「・・・・ケホッ、あれ〜?おかしいなぁ?」

「「・・・・。」」

さっきの機械の残骸を見ながら黒こげの紅蘭は首を傾げた。

すみれとカンナはその場で煙を吐いた。

「紅蘭、むやみに発明品を試すのは止めた方が良いわよ。」

マリアはそう注意するとその場を立ち去った。

「・・・アイリス、顔洗ってくる。」

アイリスもその場を立ち去ってしまった。

その時、別方向から大神とさくらが駆けつけてきた。

「一体何があったんだ・・・・まさか?」

「そのまさかデ〜ス。また紅蘭が変な機械でドカーンとやったデ〜ス。」

「織姫はん。それはちょっと非道いんとちゃうか?」

「はは、紅蘭さんもほどほどにね。」

と、さくらは苦笑いを浮かべた。

 

 

             (四十五ページ)  

次の日の午前、さくら達は次回公演のための稽古をしていた。

その中、大神は支配人室へと呼び出された。

支配人室には、眼鏡をかけた老人が一人と美女が一人いた。

老人の名は米田一基。

この帝劇の支配人であると共に、帝國華撃団の司令官でもある。

もう一人は藤枝かえで。

米田支配人の補佐をしている。

華撃団の時には、戦況を素早く見透かし各団員に的確なアドバイスをする。  

「失礼します。米田支配人、何かご用ですか?」

大神が敬礼をしながら部屋に入る。

「ああ、ちょっとやっかいなことがな。」

「やっかいなこと・・・ですか?」

「以前に竹内伯爵がお目見えになったんだけど、その時にこの手紙を残していったのよ。」

と、かえでは一枚の手紙を大神に差し出した。

それを早速大神は目を通してみる。

「・・・・光武以外の機体で戦う事は出来るんですか?」

と、大神は米田に問いただす。

「無理じゃねえが、難しいかもな。しかも、伯爵は我々に協力したいとのことだ。」

「協力・・・入隊ですか?」

「いや、それは無理だ。確かに前から体験入隊の話しは来ているが、伯爵じゃあ無理だろう。まあ、用というのはこれだけだ。下がっていいぞ。」

「はっ!失礼しました。」

大神は敬礼をし、その部屋を出ていった。

「しかし、あの伯爵が・・・。」

大神には竹内伯爵とは面識があった。

竹内伯爵・・・

本名、竹内浩三。

竹内重工の社長でもあり、武術の腕もそこそこである。

贅沢をしない社長として有名である。

年齢は40歳。

子供に男の子が一人いる。

その子の名は竹内勝真。

歳は亮と同じ17である。

最近の竹内重工では、機兵の制作を行っているという話しがある。

その時!

ビーッ!ビーッ!ビーッ!

帝劇中に警報が鳴り響く。

「クッ!来たか!」

大神はそう叫ぶとある場所へ行った。

その場所にはダストシュートがあり、大神達がこれに入ると戦闘服に瞬時に着替えれるというものである。

そして、大神達はダストシュートを抜ける。

すると、あちらこちらに何らかの機械や画面らしき物があるところに出た。  

 

ここは作戦司令室。

花組がここで作戦などを練る場所である。

大きなモニターの前の米田支配人も軍服を着て、支配人から司令官と変わったのである。

かえでも米田と同じく、軍服を着ていた。

そして、花組が全員そろい同時に敬礼をする。

「帝國華撃団花組、全員そろいました。」

大神が米田に報告する。

「よし。今回は少し奇妙な事になってるみてぇなんだ。」

「まずはこれを見て。」

すると、大型のモニターにある場所の上空地図がでる。

辺り一帯に脇侍がウヨウヨといることが確認できた。

「すっげぇ・・・ここで祭りでもするのか?」

「それもええなぁ。」

「そんなわけないでしょ。」

カンナと紅蘭がナイスなボケをかまし、マリアが珍しく突っ込んだ。

「これは一体・・・。」

「よくわからねぇが、これだけの数をそろえてるんだ。ただ事じゃねえな。」

大神と米田の会話は続く。

「だが、これを潰さねえと何をしでかすかわからねぇな。」

「ならば、速攻に叩くのが一番だと思います。」

「う〜ん・・・・確かに脇侍もいつ動くかわからねぇからなぁ・・・。」

「・・・・ここは、翔鯨丸の砲撃の後に光武・改で叩きます。」

「よし!あまり無茶するなよ。」

「了解!帝國華撃団花組、出動!」

「「「「「「「了解!!!」」」」」」」

大神のかけ声と共に花組の全員が答える。

 

 

               (四十六ページ)

その頃、亮はというと・・・  

「いつつ・・・一体何が・・・・ここどこ?」

なんと、太正13年にタイムスリップしてしまった。

しかも、場所は脇侍がいる公園前の森。

「・・・う〜ん、長屋はどこや?」

その時、亮の周辺が暗くなった。

いや、上空に翔鯨丸が空を覆ったのである。

「な・・・・なんじゃ、あの飛行船は・・・。」  

「発射!」

かえでが叫ぶ。

翔鯨丸の大砲が敵の集団めがけて火をふいた。

その後、それぞれの光武が上空から降りてきた。

「な・・・なんじゃありゃぁ!」

もはや、亮はてんてこ舞いである。

だが、下を見た亮は更に驚いた。

一面に脇侍の群。

たった8体で倒せるのかと言うくらいすごい数であった。

「あんな機数で勝てるかいや!わいも助太刀や!来い!セイバーガンダム!!」

・・・・亮の持つSG呼び出し機には何の反応もない。

「・・・あれ?なんでや?ほなもっかい!来い!セイバーガンダム!!!」

・・・・やはり応答はない。

その時、地上におりた光武はすでに脇侍の群と戦っていた。

「えぇい!まどろっこしい!!こうなったら小手でいっちゃる!」

ハチャメチャな口調で亮は小手を両手に戦場へと走っていった。  

 

そして、その戦場では・・・  

「はぁぁ!!!」

ズバァ!

大神機の太刀が脇侍のボディーを二つにわける。

他のみんなも倒しているようだが、降りた場所が悪く全員離ればなれになっていた。

一番最悪な状態である。

「くそっ!!!みんな!大丈夫か!」

大神が通信機でみんなと連絡を取る。

「大丈夫です!」

返答したのはさくらだった。

だが、さくら機の周りにはすでに3〜4機の脇侍が囲んでいた。

他の隊員も囲まれて自分を守るのに手一杯になっていた。

「クソッ!あまりにも数が多すぎる!」

大神も辛くなってきた。

だが、脇侍はまだ半分倒したと言うくらいしか減っていない。  

ピピピピピピッ!

その時、翔鯨丸の霊視レーダーで何かをとらえた。

そして、かえでは大神達に忠告する。

「みんな!何かが来るわ!注意してちょうだい!」

そして、その何かは茂みから飛び出してきた。

「うぉぉぉぉぉ!!!!」

気力十分の亮であった。

亮の周りには何やらオーラが出ている様に見える。

「そこの子、逃げて!!」

さくらが叫んだ。

亮に一体の脇侍が襲いかかる。

「はぁぁ!我流関西究極奥義!小手切りっ!!!」

ズバァ!!!

目の前の脇侍は真っ二つに切られた。

「ウソ・・・」

「・・・・すごい子ね。」

上空のかえで達も驚いた。

まさか、生身で対向できる者が花組意外でいたなんて。

そして、亮の周りに脇侍が集まり出す。

「あっ!危ない!!」

大神が叫ぶ。

が、その心配も無駄のようだった。

「我流関西究極奥義・・・小手!乱れ切りぃぃぃ!!!」

亮の周りの脇侍が次々と倒れる。

「よっしゃ!気合い十分・・・・・あれ?」

亮は、自分の小手を見た。

あまりの力に耐えられず、小手が壊れてしまった。

その時、後ろから脇侍が斬りかかる。

「ゲゲッ!まずい!!」

「そうはさせない!!!」

そう言う声が聞こえ、上空から何者かの刀が振り下ろされる。

亮の目の前の脇侍がまた真っ二つになる。

その機体は白かった。

だが、大神機(白色の機体である)では無かった。

その機体には、亮には見覚えがあった。

「が・・・・・ガンバイザー?」

そう、細部は違ったが明らかにガンバイザーだった。

だが、次の一言でそれは破られた。

「機械兵、『閃光』ただいま参上!!!」

「はっ?」

亮は思いっきりハテナ顔になっていた。

       

 

 

                 〔長屋雑談会(帝劇編)〕

亮「う〜ん、わけわからん事になってしもた・・・。」

大神「君、どうしたんだい?」

亮「それがなぁ、小手が壊れて・・・って、あんさんいつの間に。(−−;」

大神「いつの間にって、さっきからいたんだけど。」

亮「あっ、すまんな。気づかなくて。」

大神「それはそうと、今回は俺達が遂に登場したんだよね。」

亮「せやでぇ。前から狙ってたけど、遂に出したでぇ。」

大神「でも、ほとんど強引な内容だね。」

亮「(グサッ)人が一番気にしてることを・・・。」

大神「ああ、ゴメンゴメン。でも、結構良い出来だと思うよ。」

亮「なんか、取っ手つけたような言い方やなぁ・・・。」

大神「そういえば、さくらくん達は?」

亮「今回はわいと大神はんだけなんや。次回には出るけどな。」

大神「次回って・・・まだ続くの?」

亮「だいたい、合計2〜3話にしようと思ってるんや。」

大神「大変だね。(^^;」

亮「はぁ〜、先が思いやられる・・・。(==;」

 

 

         <次回予告

脇侍の大群をなんとか蹴散らした花組一行と閃光。

その後、亮にかえでが体験入隊してくれないかと申し出が来た。

その申し出を亮は・・・

  次回、大家の日記帳12

              古き良き時代

  太正桜に浪漫の嵐

            亮「結構良いもんやなぁ。」

第十二話へ

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