「大家の日記帳 12」

 

                       (四十七ページ)  

「機械兵、『閃光』ただいま参上!!!」

「はっ?」

その名を聞いた亮はハテナ顔になっていた。

だが、その間にも脇侍は『閃光』に向かってくる。

その時、閃光の搭乗ハッチが開いた。

「君!!これを使って!!!」

出てきたのは少年。

だが、少年とは言っても亮と同じくらいの歳だろう。

その少年は亮にある物を投げた。

パシッ!

亮の受け取った物。

それは・・・

「こて?なんであんさんが・・・」

そう。亮がさっきまで使っていた物と同じ形の物。

『こて』だった。

「そんなことは後でいい!それで少しでも減らしてくれ!」

「あ・・・わかった。」

その少年の迫力がすごかった。

そして、少年はまた『閃光』に乗り込むと機体は太刀を構えていた。

そして、亮は他の花組の機体の様子を見に行く。  

 

「くっ!スネグーラチカ!!!」

黒い機体の銃口から何やら人型の氷のような物が飛び出した。

そして、それは脇侍達を一気に蹴散らした。

黒い機体・・・

マリアの乗る光武だ。

「大丈夫でっか?」

亮が心配そうに話しかける。

「早く逃げなさい!いくら君が強くても、こんなに相手は出来ないでしょ!」

「そんなことはあらへん!」

と、亮もさっき貰ったこてを構える。

「君は、戦場をなめてるわ!はやく逃げなさい!」

「今の状況やったら、そんなこと言ってられへんやろ!」

と、結局飛び出していった。  

 

・・・そして、それから数十分後 脇侍達は蹴散らすことが出来た。

が、花組の機体も、『閃光』も、亮のこてもボロボロだった。

花組の機体はいつの間にかいなくなっていた。

亮は仰向けに大の字になって倒れていた。

「・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・きつかった・・・。」

もう、言葉が出ないくらいに疲れ切っていた。

そして、その横にさっきの少年が寄ってきていた。

「君、大丈夫か?」

「・・・あんまり・・・。」

当然と言えば当然である。

一人だけ生身で戦ったのだから。

「・・・さっきの変な機体は?」

「ん?『光武』の事かい?」

「・・・光武っていうんか・・・。そう言えば、今何時や?」

「えーと・・・」

と、少年はおもむろにポケットから懐中時計を取り出す。

「・・・四時をまわったくらいかな。」

「・・・そういえば、名前は?」

亮がやっと起きあがった。

「竹内。竹内勝真っていうんだ。」

「勝真・・・・勝真!!!」

亮がその少年の名を叫んだ。

「どうしたの?」

「勝真って・・・おじいちゃんの名前や・・・。」

「君、なに言ってるんだ?僕は見ての通りの若者だよ。何でおじいちゃんなのさ?」

「・・・・なあ、今って何年や?」

「・・・太正13年だけど・・それが何か?」

「太正・・・・・・・・・?」

亮の頭の中はかなり混乱していた。

そんな中で一つ疑問が出てきた。

「・・・なあ、さっきの光武ってヤツは?」

「ああ、さっきのでかい蒸気飛行船を見ただろ?あれで帰ったはずだよ。」

「蒸気?何で蒸気なんや?」

「君、今日は僕の家に泊まると良いよ。そこで休んで、ゆっくりと頭の中を整理した方が良いんじゃないかな。」

と、亮をおぶって『閃光』に乗せ、勝真の家へと向かった。    

 

         (四十八ページ)

着いた所は豪華な屋敷・・・じゃなくて、どこにでもあるような長屋である。

長屋とは言っても、関西長屋ではない。

この時代では当たり前なのである。

そして、長屋の近くの倉庫に『閃光』を入庫させ、また勝真が亮をおぶって長屋の一角に運ぶ。  

 

・・・それから数時間後。

「・・・ん?わいは・・・」

亮は運ばれる間に寝てしまってたらしい。

亮の側にはさっきの少年、勝真がいた。

その奥のキッチン・・・とはいえないほど小さな台所があった。

そこには一人、男性が何かを作っていた。

「やっと起きたか。でも君、寝相悪いね。(汗」

「・・・え?」

亮は掛け布団をけ飛ばしていた。

そして、亮は笑いながら起きあがる。

「なははーっ、すまんな。(汗」

「ホントに。それで、君の名前は?」

「ああ、わいは竹内亮っていうんや。」

「へぇ、僕と同じ名字なんだね。」

その時、台所で何かを作っていた男性が手に料理をもってきた。

「やぁ。やっと起きたんだね。さ、これを食べて元気になりなさい。」

と、その男性は微笑んで亮の前に料理を置く。

この男性は勝真の父、竹内浩三。

そう、前に大神が述べた「竹内伯爵」である。

「あ、ありがとうございます・・・・。えっ?」

その料理・・・それは「椎茸の肉詰め」。

亮は椎茸も苦手なのである。

でも、食べれないわけじゃない。

「い・・・いただきます。(苦笑」

と、亮は我慢して食べた。

「うんうん。おいしそうに食べてるね。」

「そ・・・そうかなぁ?(汗」

何だか、勝真の父さんはどこかずれてるのかもしれない。(汗

そして、浩三は一言亮に話しかけた。

「君、しばらくここにいると良いよ。(笑顔」

「ふぁ・・・ふぁりがふぉうふぉふぁいふぁふ。」

<訳:あ・・・ありがとうございます。>

「あははっ、どういたしまして。(笑顔」

と、浩三は笑顔で返す。

「父さん・・・よく言ってること解るね。(汗」

勝真は隣で苦笑いしていた。

 

               <四十九ページ>  

それから数日、勝真達の長屋では・・・

「亮くん。君宛に手紙が来てるよ。」

と、勝真は亮に手紙を渡す。

「へ?わいに・・・この時代には知り合いなんておらんで・・・。」

と言いつつ、封を切り手紙に目を通す。

亮は今の現状を把握したようだ。

その手紙の内容は・・・

「竹内 亮殿、アナタニ『帝國華撃団 花組』ニ体験入隊スル事ヲ認メル。・・・」

つまり、「帝國華撃団花組」に体験入隊してくださいという感じの手紙である。

「・・・へぇ、亮があの帝國華撃団に体験入隊できるとは・・・すごいね。」

と、勝真は話す。

「なあ、帝國華撃団って・・・あの時の機体と関係あるんか?」

亮が勝真に質問する。

「大ありだよ。あの機体こそが『帝國華撃団』の主力兵器だからね。」

「へぇ〜、そんなところからわいにいきなり体験入隊か・・・面白そうやな。」

と、亮はにやつく。

おそらく、光武の事が気になるんだろう。

と言うより、機械いじり好きの血が騒ぐ・・・と言った方が当てはまる。

「ってことは、僕とはしばらくお別れになるね。」

「あっ・・・せやな・・・。」

亮の表情が少し寂しそうな顔になる。

「亮、滅多に無いチャンスなんだから、行ってきたらどうだい?」

勝真が亮を励ます。

「なはは、すまんな。折角仲良くなれたのに。」

「大丈夫。また会えるから。」

勝真が微笑む。

「・・・ほんなら、行かせてもらうな。」

と、亮も微笑む。

そして、勝真は亮を帝劇へと送った。  

 

・・・そして、帝劇前。

「・・・なあ、勝真はん。」

「なに?」

「・・・確かに帝国歌劇団だけど・・・。」

「そうだよ。歌劇団だよ。(^^」

「いや・・・だから華撃団・・・」

「だから、ここだって。(^^;」

と、五分くらい亮と勝真がボケツッコミを繰り返していたとき、中から大神が出てきた。

「あっ、君はあの時の・・・」

「はい?」

亮は顔をしかめた。

無理もない。

亮が見た大神は「光武」に乗っていた。

だから、大神の顔を知る由もなかった。

「それに、君は竹内伯爵の息子さんじゃないですか。今日はどうしたんですか?」

と、大神は勝真を見てそう言った。

「はい、今日はこの人の用で来たんですよ。」

と、にっこりしながら話す。

「あ・・・どうも。」

と、亮はおじぎする。

「それじゃあ、俺が支配人室へ連れていきますね。」

「はい、お願いしますね。」

と、大神は亮を連れて奥へと消えた。

「・・・亮、頑張れよ。僕も助けるから・・・・」

勝真はそう呟き、その場を立ち去る。  

 

「へぇ〜、結構大きな劇場でんなぁ・・・」

亮があちこちキョロキョロしながら大神についていく。

「まあね。所で、何のようで来たんだい?」

「何か、『帝国華撃団』から体験入隊の手紙が来たんや。その事を勝真はんに話したらここに連れてきてくれたんや。」

「へぇー、それじゃあ君もあれに乗るんだね・・・・。」

「あれ?『光武』の事かいな?」

「えっ!君、何でそれを知ってるんだい?」

「勝真はんから教えてもらったんやけど・・・」

と、その間に亮達は支配人室の前に着いた。

「それじゃあ、俺は他の仕事があるから。」

「はい、ありがとうございました。大神はん。」

そして、大神は亮を残して立ち去った。

 

「・・・緊張するなぁ・・・。」

そして、亮はドアをノックし、入室する。

「失礼します。」

「おう、入ってもいいぞ。」

ガチャッ

「米田支配人ですか?」

「そうだ。」

「竹内亮、ただいま到着しました。」

どうやら、カチンコチンに固まってしまってるようだ。

「まあまあ、もっと楽にしろよ。」

「は、はい。」

「それで、おめぇは体験入隊のことで来たんだろ?」

「はい。」

「・・・前もって言っておく。仮にも体験と言っても、他の奴らと同じ扱いをするから、覚悟しとけよ。」

その言葉を聞いた亮は、この先の事がすごく不安になってきた。

「それじゃあ、まずは部屋だな。あまりいい部屋じゃねえが、そこで寝泊まりしてくれ。それと、後でこれに着替えな。」

と、差し出されたのは大神と同じ服だった。

「はい!」

コンッコンッ

その時、誰かが入ってきた。

「失礼します。何かご用でしょうか?」

大神だ。

「おう、こいつを部屋に案内してくれ。」

「わかりました。それじゃあ、行こうか。」

「はい!失礼しました。」

そして、亮達は支配人室を後にする。  

 

亮のいなくなった支配人室で・・・

「・・・なあ、ホントにあいつで大丈夫なのか?」

「ええ。霊力の方は問題ありません。後は彼次第です。」

「・・・そうか。しばらく様子を見るか。」

そして、米田は持っていたお酒を一気に飲み干した。

 

                 <五十ページ>  

「ここが君の部屋だよ。」

「へぇ、ええ感じやなぁ・・・」

その部屋には、ベットに机。後は小さなタンスが一つあった。

「改めて言うけど、俺は大神一郎。これからもよろしくね。」

「あっ、はい。わいは竹内亮っていいますねん。これからもよろしゅうな。」

「あははっ、まるで紅蘭みたいだなぁ。」

「紅蘭?誰なんでっか?」

「後でみんなを紹介するよ。それまでここでくつろいでいていてくれ。」

と、大神はその場を立ち去る。

「・・・はぁ、この先どうなるんやろ?・・・寝よっと。」

そして、亮はベットに横になる。

 

・・・それから数十分後。

コンコン

扉からノックをする音が聞こえる。

コンコン

また聞こえた。

そして、亮は起きあがり返事をする。

「はい?」

「大神だけど、そろそろみんなを紹介するから来てくれないか?」

「あ、わかりました。すぐに出ますわ。」

と、亮は廊下に出る。

服装はさっきもらった大神とお揃いのもぎり服である。

「所で、ここの人たちってどんな感じなんでっか?」

大神に着いていきながら質問する。

「みんな、いい人達だよ。最初は何かと大変になるけどね。」

と、苦笑いしながら答えてくれた。

 

そして、大神達はサロンに着いた。

「みんなー!しばらくの間だけど、ここにはいった竹内くんだ!」

そして、サロンにいた人たちは亮を見る。

「あ・・・あなたは・・・」

第一声は、少し大胆な着物を着た女性・・・すみれである。

「君は・・・あの時の・・・」

今度は、ピンクの桜模様の着物に赤い袴。

さくらである。

「・・・よろしく。」

何やら不服そうな顔で挨拶をする金髪の女性。

マリアである。

「どうも。わいは竹内亮っていいますねん。これからもよろしゅうたのんますわ。」

亮が花組のみんなに挨拶をする。

「あんさん、機械に興味おまへんか?」

突如、眼鏡を光らせながら話しかけて来たチャイナ服の女性・・・

紅蘭である。

「あるけど・・・それが何か?」

「ちょっと実験に・・・」

「ダメだよ、紅蘭。いきなり実験させるなんて。」

紅蘭の発言を止めたのは人形のような少女・・・

アイリスである。

「全く、いきなり爆殺する気かぁ?」

と、ニッと笑いながらボケを入れるのはカンナだ。

「大丈夫やって、今度は爆発なんてせぇへんって。」

「そう言って、前も爆発したよねぇ。」

と、しばらくこんな具合で亮は質問責め(?)になった。

「う〜ん・・・どこかで見たような光景だなぁ・・・。」

その端から見ていた大神はポリポリとあごをかいていた。

 

 

             <長屋雑談会(帝劇編)>  

亮「ううっ・・・今回も強引な所ありすぎやぁ・・・。しかも、時代設定も間違えたぁ〜(滝泣」

大神「まあまあ、元気をだしなよ。亮くん。(苦笑」

勝真「そうだよ。君らしくもない。」

亮「うゆ・・・ありがと・・・頑張るな。(TへT」

紅蘭「・・・亮はん・・・ちょいとこれかぶってみ?」

亮「・・・う?うん。」

大神「あっ!亮くん!!」

紅蘭「あっそれ、ポチッとな。」

ドカァァーーーーーーーーン!!!!!!

黒こげ亮「・・・ケッホ!」

黒こげ大神「・・・こ・・紅蘭。(−−;」

黒こげ紅蘭「ケッホ。あっれ〜?おかしいなぁ?」

黒こげさくら「紅蘭さん。まだ出てない私達まで・・・」

黒こげすみれ「全く、この美しい顔が台無しじゃないの!」

・・・そして、花組一同で何かもめ始まる。

亮「・・・爆破ネタは使いやすいなぁ・・・。(笑」      

 

    次回予告

とりあえず入隊した亮。

だが、訓練ばかりの毎日と思っていた矢先の仕事はもぎり補佐。

それに呆れ返っていた時に出動する事になった。

そして・・・  

次回、大家の日記帳13

           帝劇奮闘記  

太正桜に浪漫の嵐

             亮「は?もぎり?」

 

          十三話へ

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