「大家の日記帳16」

 

             (六十一ページ)  

「おーい!!ボンベはどうした!?」

「机が足らないよ〜!!」

「ホイップとか買ってきて〜!!」

あちこちで色んな声が響く。

時は文化祭当日の朝。

学校には生徒が右往左往と慌てふためいている。

そう、皆準備に追われてるのである。

その中、亮のクラスの屋台はというと・・・。

「そっち!!かき混ぜ過ぎやで!!!ん?それはちょっと分量が多い!!」

何だかんだ言って、亮はかなり張り切って指揮する。

屋台のチームも、それに頑張って応じる。

まだ鉄板類に着火していないのに、屋台の中は熱気に包まれている。

そして、しばらくその状況は続き、文化祭が始まるぎりぎりの時間になる。  

 

『まもなく、文化祭を始めますので、生徒は各配置についてください。』

放送と共に、亮はチームを集合させる。

「ええかぁ!文化祭っちゅうのは、『儲ける』じゃなくて『楽しませる』が目的やで。その事は忘れんといてや!そいじゃ、解散や!」  

 

そして、遂に文化祭が始まった。

あちこちの屋台から煙が上がる。

それと共にかけ声も高らかに響く。

そして、亮の屋台にも火が入った。

「よっしゃぁ!まずは慣らしでお好み5枚とたこ焼き5人前や!」

と、亮は早速鉄板の上にお好みの種を落とす。

それぞれに豚肉など、色んな具を乗せていく。

それと同時にたこ焼き機にも種が入り、たこ等を入れていく。

そして、頃合いを見計らってお好み焼きとたこ焼きをひっくり返す。

チームの面々はその鮮やかな手さばきばかり見ていた。

そして、お好みを箸に巻き付け、使い捨て皿に乗せる。

たこ焼きも同様の皿に乗せ、ソース・青のり・かつお節で彩る。

そして、鉄板の前にお好み焼き(箸巻きとも言う)とたこ焼きがそれぞれ5人前並んだ。

「ん、ぼちぼちやな。」

時間は決して早くは無かったが、さほど長い時間でもなかった。

そうこうしてる内に、早速お客はソースの匂いをかいでやってきた。

「おっ、まいど。デカブツ。」

「うっせえ、チビが。」

格闘でのライバル、剛田だ。

「ここの屋台、お前がしていたとは以外だったな。」

「以外って何や、以外って。(汗」

そして、お互いフッと笑う。

「それじゃあ、そんなお前の作った箸巻き一つ貰うか。」

「おう、まいどおーきに。」

箸巻きを受け取った剛田は、早速食べてみた。

「・・・・・ほぅ、お前にしてはなかなか美味いじゃねえか。」

「『お前にしては』は余計や。」

「まあ、なかなか美味かったぞ。それじゃあな。」

「まいどおーきに〜。」

亮が剛田と話しをしている間にも、いくつか売れていた。

「さて、ぼちぼち量産体制やな。」

と、亮は鉄板の上にお好みとたこ焼きのの種をドンドン落としていく。

 

               <六十二ページ>  

あれから三時間後、亮はその間ずっと箸巻きとたこ焼きを焼き続けていた。

売れ行きもまあまあで、悪くはない。

そんな時、迷太郎が寄ってきた。

「よう、売れ行きはどうだ?」

「ぼちぼちでんなぁ。」

「・・・お約束だな。(汗」

「んで、どないしたんや?ただ食いでもしに来たんか?」

「いや、どうなってるかが気になってな。でも大丈夫そうで良かった。」

「なに言ってんねん。あんさんは信用があったからわいを推薦したんやろ?せやったらもう少し信用してぇな。」

「いやぁ、気になっただけだからあまり気にするな。それじゃ、俺は楽しんでくるぜ。」

「おう、いってらっしゃ〜い、気楽者。」

その場を去っていく迷太郎とすれ違いで、つばめとティセとあかねが来た。

「亮〜、頑張ってる?」

「おう、頑張ってるでぇ。つばめ達も楽しんでっか?」

「当たり前よ。」

「つばめさん、さっきなんてパンチングマシーンで凄い記録を叩き出してましたですぅ。」

「あれは校内広しと言えど、なかなか抜けないかもね。」

「そういえば、あの後マシーンが壊れて大騒ぎでしたですぅ。」

「あれ?そうなの、あは、あはは・・・。(苦笑」

つばめは頭をぽりぽりと欠きながら誤魔化し笑いをする。

「つばめ、相変わらずの暴れっぷりやな。(汗」

「そんな事より、たこ焼き3つちょうだい。」

「うい、まいど!」

たこ焼きを受け取ったつばめ達は、励ましのの一言を言ってその場を後にした。  

 

時間的にはもう昼を過ぎた頃、亮は相変わらず焼き続けていた。

辺りの人集りはピークを迎えていると思われる。

「ここが勝負時やな・・・それっと。」

亮はここぞと言わんばかりに鉄板にソースを塗る。

すると、辺り一面にソースのいい香りが漂い始める。

屋台の付近を歩いている生徒や一般の人は足を止めて、匂いの発信源を探す。

発信源が亮の屋台だと分かると、大半のお客さんは屋台に寄って、たこ焼きや箸巻きを買っていった。  

 

お客がかなり空いてきた頃、スピーカーから放送が流れてきた。

「それでは、文化祭を終了します。残っている一般の方は退出願います。」

その頃には、他の屋台も片づけを始めていた。

当然、亮の屋台も片づけを始めていた。

「よう、遂に終わったな。」

迷太郎がどこからか走ってきた。

「ところで、結果はどうだった?」

「なかなか繁盛してたで。そいで、このお金はどないするんや?」

「俺が貰う・・・」

その瞬間、屋台内は殺気に包まれた。

迷太郎に向かって・・・

亮の目つきも一瞬にして鋭く、冷たい視線になる。

「じょ・・・冗談だよ。先生の話によれば、どっかに寄付するそうだ。」

一歩引いた迷太郎は冷や汗をかきながら話す。

「な〜んや、冗談やったんか。本気やったらこてでペッタンコにする所やったでぇ。(笑」

ケタケタと笑う亮の横で、迷太郎は振るえていた。

「(なんか・・・一瞬、亮の後ろに何かが見えた・・・。)」  

 

なんとも騒がしい文化祭は、迷太郎の冗談で幕を閉じた・・・。

 

 

                 〔長屋雑談会〕

迷太郎「ガタガタガタガタガタ・・・・・」

亮「ん?どないしたんや?」

つばめ「なんか、文化祭が終わってからずっとあの調子なのよ。」

亮「大方、食い過ぎたんじゃねぇか?」

ティセ「迷太郎さんもたいへんですぅ。」

あかね「全くね。それとも、お化け屋敷が怖かったとか?(ニヤソ」

迷太郎「ガタガタガタガタガタガタ・・・・・」

亮「・・・・おーい、迷太郎やーい。」

迷太郎「ガタガタガタガタガタガタガタガタ・・・・。」

つばめ「・・・・かなり重傷ね。」

あかね「仕方ないから、ほっておきましょ。そのうち治るでしょ。」

亮「せやな、こういう時こそ一人にするのがいいかもな。」

ティセ「それじゃ、いくですぅ♪」

・・・・亮達が出ていった後も、迷太郎は振るえるばかりだったそうな。    

    

次回予告

なんと、いきなりの抜き打ち家庭訪問。

だけど、ペニー先生は病気でダウン。

その代役にある先生が長屋にやってきた。

まだ研修生のその先生は、長屋で・・・・・  

次回、大家の日記帳17  

           家庭訪問!?(そのまんまやん)

関西長屋に波乱の嵐

             亮「あれ?ペニー先生は?」

第17話へ

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