大家の日記帳18
<六十五ページ>
カチャカチャ・・・
長屋の地下で、絶え間なく物音が響く。
「ここは・・・どないしようかなぁ・・・」
亮はセイバーガンダムをなにやらいじっている。
ほかにも、見知らぬ顔が数名いた。
ここ最近、数人の人物が亮のところにやってきた。
それを境に、亮は地下に籠もりっきりなのである。
ある日、つばめが亮の部屋の戸を叩く。
「亮〜、いるの〜?」
そう声をかけるも、亮には聞こえていない。
まあ、地下にいるせいもあるが。
「全く、最近全然顔出さないんだから・・・。」
つばめがグチるのも無理はない。
ようやく春休みに入り、つばめは暇を持て余して亮の長屋に何度か遊びに来ていた。
しかし、肝心の亮はずっと部屋にいない。
いくら声をかけても返事すら無いのだ。
その当の本人は春休みに入った途端に地下へ潜っている。
「一体何してるのよ・・・。(ブツブツ」
そう言いながら、結局つばめは家に帰ってしまった。
<六十六ページ>
場所は変わり、いつも人で賑わっている四ノ宮。
以前、天海が出現して一騒動あった場所でもある。
今では一騒動あったのが嘘のように、以前の活気が戻ってきている。
その中に2人、至って見かけは普通の少年と少女が立っている。
「そろそろ始めるか・・・。」
「そうね。」
そう呟くと、少年は腕を高々と上げる。
バチッ・・・バチバチッ・・・
少年の真上で電撃が走る。
しばらくすると、それは黒い球体と形になっていく。
「召喚、ハデス!!!」
そう叫ぶと、黒い球体は徐々に人の形に変わってゆく。
大きさはほぼMSの1.5倍ぐらいにもなる。
大きな肩アーマーを装備しているらしく、かなり大きく見える。
少年と少女は、その黒い物に乗り込む。
そう、これでも機体なのである。
「さて・・・準備は良いか?蒼衣。」
「もちろんよ、宏・・・。」
その機体の足下では、人が逃げまどう。
そう、天海が出現した時のように・・・。
晴れていた空も、いつの間にか雲がかかってきている。
そして・・・
「まずは・・・大剣からだ!」
機体の腰当たりから、一個の球体がスッと目の前に浮かぶ。
その球体は瞬く間に大剣へと姿を変えた。
ハデスは、その剣を手に取り、薙いだ。
ズバァァァァン!!!!!
対象のビルは見事に真っ二つに切れた
「さて、兄貴はいつ来るかな・・・」
「フフフ・・・」
二人は邪悪な笑みを浮かべた。
そのころ、つばめは騒ぎをテレビで聞きつけてガンバイザーに乗り込もうとしていた。
「全く・・・こんな時に亮はなにしてるのよ!」
そして、即座に四ノ宮へ出撃した。
「まだ出てこないか・・・。」
ハデスは元々球体だった物質を時には大剣に。
時には槍に変化させてあたりの建物を崩していった。
「大丈夫・・・一機、機影を確認したから。」
「お、やっと来たか・・・。」
ハデスが確認した機影・・・
それは当然、つばめの乗るガンバイザーである。
ガンバイザーはハデスの目の前に立つと、ピシッと指を指した。
「あなた!!こんなに街を壊してどうするつもりなの!?」
「な〜んだ・・・兄貴じゃないのか・・・。兄貴らしい機体だと思ってたんだけどなぁ・・・。」
怒りに震えるつばめと違って、宏は余裕がある素振りで話す。
「兄貴って・・・亮の事!?」
「そうだよ?兄貴のヤツ、なにも言ってなかったんだねぇ・・・。
そういうあんたは兄貴の彼女?以外ともててるんだねぇ♪」
「う・・・うるさい!!」
そうこう話をしていると、蒼衣が話に割って入ってくる。
「ねえ、宏。こいつを行動不能にするのはどう?」
「お、それいいねぇ。そうすれば兄貴もきっと出てくるかもな。」
「そんな事はさせないわ!!食らえぇぇ!!」
ガンバイザーがハデスの懐にスッと入ってきた。
「必殺!!ガトリングアッパァァ!!!」
ハデスに向かって、ガトリングの銃身を腹部にヒットさせた。
その瞬間、ガトリングが火を噴いた。
ガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!
付近は、ガトリングの煙幕で視界が悪くなった。
「どう!?」
ガンバイザーはスッと距離をとる。
敵には間違いなく決まったと確信している。
しかし・・・
「え!?」
ガンバイザーのすぐ後ろにハデスはいた。
「お姉ちゃん、なかなかやるねぇ。でもまだまだ甘いね。」
その瞬間、ガンバイザーの両腕が消えた。
いや、消えたと言うよりも瞬間的に切り飛ばされたという方が正しい。
ハデスの手には、鎌があった。
おそらく、これで切り飛ばしたのだろう。
「腕が・・・でも、負けてられないのよ!!!」
再び、ガンバイザーはハデスとの距離を空ける。
「いっけぇ!!ガンバイザービィィム!!!」
ガンバイザービームの閃光がハデスを包みこんだ。
<六十七ページ>
その頃、長屋の地下では・・・
「ふぃ〜・・・ついに完成かぁ・・・。」
亮と周りにいる数人の人たちは完成したセイバーガンダムを眺めていた。
「いやぁ〜、すんまへんなぁ。おかげで予定以上の完成度になりましたわ。」
「こっちこそ。貴重な戦闘データとマシンスペックもとれたし、お互い様よ。」
「・・・面白い改造案ね。」
この人物は、以前出会ったフェルティクスのところの整備班長と、その付き添いの部隊長らしい。
今回は偶然にも、久礼で母艦の点検整備や搭載機のオーバーホールに来ていたところを
フェルティクスがこの2名と数名の整備員。
いくつかの試作パーツを長屋に回してくれたのである。
そして、その整備班長・・・名はミリルというらしい。
その人が亮に再び話しかける。
「しかし、なかなかいい腕してるねぇ。どう?学校を卒業したらうちの軍で整備員でも?」
「なはは・・・卒業後のことはまた考えておきますわ。しかし・・・」
亮はちらりとセイバーガンダムの背中に着いた新兵器に目をやった。
「・・・反重力推進装置か。またすごいもん回してくれたもんやなぁ。」
「まあ扱いは難しいけど、無茶させなければ大丈夫よ。」
そうこう話していると、部隊長のフェニスが何やら通信を受けていた。
「はい・・・四ノ宮で戦闘・・・白い機体が大破ですか・・・」
「ちょい、今なんて・・・・・」
亮はフェニスに問いかける。
「白い機体・・・機体名は不明です。」
「たぶん、うちのMSや!それで、状況は!?」
フェニスは淡々と事細かに聞いた通信を話す。
ガンバイザーの手足は無く、黒い機体に頭を捕まれている状況らしい。
亮にとっては、信じられない事だった。
「嘘やろ・・・つばめのガンバイザーが負けてるなんて・・・」
「早く助けに行った方が良いんじゃないか!?」
「でも、まだ組み上がったばかりで起動テストしてないんッスよ!?今動かすのは危険ッスよ!」
ミリルや整備員同士で言い争っているところに、亮が叫んだ。
「スマン、これから出撃するんで退避してくれんか!!」
その顔は、怒りに満ちていた。
「亮さん・・・時期に艦長も援護に向かうそうです。」
「了解や・・・とにかく、早く下がってくれんか?」
その場にいた人達を退避させると、即座に発進させる。
「セイバーガンダムMk2、出るでぇ!!」
<六十七ページ>
場所は戻り、四ノ宮・・・
「お姉ちゃん、結構頑張ったねぇ。けど、俺に向かって来た事自体間違いだったね。」
「もう、終わりね・・・。」
ハデスに腕と足をもがれたガンバイザーは、もう虫の息だった。
あちこちからオイルや火花が散っている。
中に乗るつばめも、額から血が流れていた。
コックピット内の画面も、正面以外はすべて割れていた。
「クッ・・・もう・・・ちょっとだったのに・・・」
「まあ、兄貴が来ないなら仕方ない。殺しちゃおか。」
「そうね・・・。」
宏の言葉とともに、ハデスの武器は槍へと姿を変え、コックピットブロックを狙った。
「亮・・・ごめん、大事な・・・ガンバイザー壊しちゃった・・・。」
もう、つばめも諦めかけていた。
「ダブルバァァストナックルゥ!!!!!」
声とともに、ハデスに捕まっていたガンバイザーに何かがぶつかり、
そのままガンバイザーごと一機の機影の元へと飛んでいった。
飛んできたものは何者かの腕だった。
「すまん、つばめ。」
「・・・亮・・・もうちょっと早く来てよね・・・。」
泣きそうな声のつばめに優しく声をかける。
「すまんったら。とにかく、つばめが無事で良かった。」
「亮・・・」
「ちょっとスマンが、ここで休んでてくれるか?わいはあいつと決着をつける・・・」
腕足が無くなったガンバイザーを近場の地面に置き、キッとハデスを睨む。
「やっと本命の登場ね・・・」
蒼衣がぼそっと言う。
「おい、宏!しばらく見ないと思ったら、いきなりこれかい!!!」
「だって、なかなか出てこないし、それに暇だったんだもん。」
「暇で人の命取るな!!そんなヤツは、わいがブッ倒す!!」
「やれるものなら・・・やってみろよ・・・。あの時の恨み、ここで晴らす!!」
お互い、戦う準備は万端。
これから、兄弟の決戦が始まる・・・
〔長屋雑談会〕
亮「いやぁ、とんでもない事になったなぁ。」
つばめ「なったわねぇ・・・(遠い目」
亮「ガンバイザーもついに大破・・・」
つばめ「そして、セイバーGは見事にパワーアップね。」
ミリル「結構、無茶してたのかあちこちボロボロだったよ。」
フェニス「あり得ない装備もある・・・。」
亮「なはは・・・(^^;」
つばめ「それで、次回はいよいよ兄弟対決ね。」
ミリル「うちの艦長も来るって言うし、大接戦ね。」
亮「(でも、あれがこの戦いの原因なんて言えない・・・)」
つばめ「どうしたの?」
亮「いや・・・何でもない。」
次回予告
ついに始まるハデスVSセイバーGMk2。
途中でフェルティクスのセイバーGも合流して、史上最大の兄弟対決となる。
果たして、勝利の女神はどちらに微笑むか・・・
次回、大家の日記帳19
失う力 手に入れる力(後編)
関西長屋に波乱の嵐
フェル「よう!助けに来てやったぜ。」
19話へ
|
|||
|
|